見出し画像

記念日

8月8日 晴れ時々豪雨 最高気温32度 最低気温23℃

今年も九州のKさんからメールが届く。8月8日しかも今年は8周年。それは我が家の結婚記念日であり、偶然にもK夫妻の結婚記念日でもある。さらにお二人にとっては、東京から佐賀へと移住をし、お店を始めた日。この8年、お会いすることは叶わずにいるが、それでもお互いこの日を無事に迎えられたことを毎年メールで祝い合っている。誰かと何かと分かち合うことは、自分たちだけで祝うことよりも、倍の嬉しさがあることを知った。
ポケットをたたいてビスケットが増えていくみたいに。
我が家は特段、記念日らしいことを何かしているわけでもない。プレゼントやケーキの用意も特になく、一日がなんとなく過ぎていく。何事もないから「無事」なわけで、それが何より。夕食に乾杯するときに、いつもよりちょっといいワインがあれば良いでしょう。来年はお互い何も予定を入れず、しっかり休んで何か美味しいものでも食べにでも行こうか。なんて朝から一年先のことなどわからないというのに約束をしてみたけれど、どうなるだろう。

8年前、私はまだ東京に暮らしていた。夫君はUターンで福島へ戻って間もない頃だった。入籍することは決めたものの、しばらくは遠距離婚という選択をし、移住の時期は検討しようということになった。まだ住む場所もお店をどうするかも決まっていたわけではないのに、その候補地に三春を挙げていたのだ。大丈夫だなんて何の根拠もなかったし、今考えると思い切っていたなぁなどと他人事のような気もする。けれどもそのときは神様?自然の流れ?に従うかのように、婚姻届けを三春町役場に提出することにしたのだった。
8年前の8月8日。ゾロ目であれば結婚記念日を忘れることはないでしょうと、その日に照準を合わせて書類を揃え、いざ提出。確かその日は土曜日か日曜日で、町役場には敬警備員の方しかいなかった。その警備員の方はにこやかに「おめでとうございます」と、まだ町に何の縁も持たない二人を祝福して下さった。そして「あと8分待ちますか?」と。はじめは何のことかわからなかったが、すぐにハッと気づきそれはさすがに恥ずかしくなって遠慮することにした。
「8月8日朝8時に受理しました」時間までは計算になかったが、見事なゾロ目。携帯で記念撮影までして下さったあの日の警備員の方は、もういらっしゃらないのだろうか。既成事実のお陰かどうか、その後私はくらしとしごとを三春へ移し、8周年の今日を迎えることができたのだ。ありがとう、おめでとう。