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北へ北へ

8月10日 晴れ 北海道東川町 最高気温34℃ 最低気温26℃

初めて訪れる福島空港。
さすが円谷プロのお膝元だけあって空港全体がウルトラマン仕様になっている。ここはウルトラの星なのかもしれない。なんて考えたらなんだか映画の世界に迷い込んだようで楽しくなってくる。
今日はこれから友人家族が暮らす北海道の東川へ、お声をかけて頂いたFarmers garden marketに参加するために前乗り。三春から東川へ向かう経路は幾通りかあるのだけれど、色々考えて福島空港から新千歳空港まで飛び、そこから電車で旭川駅まで行き、車でユリヲちゃんに迎えに来てもらうことにした。ユリヲちゃんに会うのは私が三春に移住をした以来だから7年ぶり⁉二人の子どもたちともほぼ初対面に近い状態だ。福島の親戚のおばさんが、北海道の姪っ子甥っ子に会いに行く感覚。我が家には子どもがいないから、遠くから勝手に成長を見守らせてもらっている。孫と離れて暮らす、おじいちゃんおばあちゃんはこんな心境なのだろう。会えるのが楽しみで仕方がない。
福島から飛行機が飛び立ち、窓際の席から見下ろす福島の風景は「うつくしま福島」と言われる通り緑多き大地。高度が上がり、あっという間に雲の上。しばらくして眼下に見えた水たまりのようなコバルトブルーは秋田の田沢湖。ぽっかりと浮かんだ雲の影まで湖面に写っているのが見えた。本を読みながらウトウトとするかと思いきや、眠ってしまうのが惜しいほど。携帯でカシャカシャと何枚も写真を撮ってしまう。そうか、私ははしゃいでいるのか。

本当に7年ぶりなんだろうか。話始めればすぐに、会っていなかった時間などスーッと風で流されてどこかへ飛んでいってしまうかのよう。その一方で子どもたちは確実に成長をしていて、そこで時間の経過にハッと気づかされる。でもとにかく嬉しい。久しぶりに会えたことももちろんだけれど、東京から移住をしてこの地で根を張り、こんなにもいきいきと楽しそうにしているそのことが。日に焼けた家族みんなの笑顔が物語っている。ユリヲちゃんが畑で育てた野菜をかごいっぱいに収穫して、それが晩ごはんのごちそうに。
メールやsnsで見ていた季節を映し出す窓からの景色。呼吸が自然と深くなっていく。来年にはまた東京から友人夫妻がこの地へ移り住む。良かったね、良かったね。心から祝福したい。綿毛が飛んで行ってその先で芽を出し花を咲かせるように、友人たちが暮らし始めたことで、これまで知らなかった土地へ思いを馳せることができる。のびのびとするような、清々とするような。ちょうどこの窓からの景色のように。