【劇評家の仕事3】劇評は、客観的な審判ではなく、きわめて個人的な営みです。
劇評は、舞台の分析、位置づけのためにあります。
舞台がおもしろかったか、観るに値するかは、二番目、三番目、いや、それ以下の役割にすぎないと思っています。
もし、舞台の解説が必要なのであれば、演出家本人が書けばいいのです。この十年ぐらいポストトークがはやりなのは、集客のためだけではなく、演出家がどんな意図でこの舞台を作ったのか、その創作過程を知りたいと、観客が願っているからでしょう。
また、おもしろかったか、観るに値するかは、欧米の五つ星を頂点とする採点主義へと至るでしょう。
もちろん、複数の批評が並び立つならば、星は、物差しとしては便利です。決して安くない観劇料を支払うに価するか、その指標を示すのは、悪いことではありません。
年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。