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【劇評194】菊之助代役の『日本振袖始』。創世記の神話にふさわしいだけの大きさが備わっていた。

長谷部浩

 コロナ渦の影響で、玉三郎から菊之助に替わった『日本振袖始』を観た。急な代役にもかかわらず、舞踊としての高い水準を保っている。

 幕が開くと深山の趣。甕が八基並び、上手には瀧。妖気漂う絵で、演出家としての玉三郎の美意識が緊張感を生む。

 まずは、梅枝の稲田姫の出がいい。村人たちに囲まれて生贄に捧げられる姫の純粋さ、哀れさが一瞬にして伝わってくる。澄み渡った心境、自己犠牲の哀れ。役がまとう雰囲気をさっと差し出せるだけの力量が備わってきた。

 さて、菊之助の出来はいかがか。

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尾上菊之助さんの話題が中心のマガジンです。筆者の長谷部浩は、『菊之助の礼儀』(新潮社)を以前、書き下ろしました。だれもが認める実力者が取り…

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長谷部浩

年々、演劇の正体がどうもよく、わからなくなってきました。だとすれば、たくさん文章を書くことで、ひたすら考えを進めるしかない。そんなやむにやまれぬ気持ちでnoteを始めました。応援をいただければ、暗い道に灯火がさしてくると思います。どうぞよろしく。