五つ星

2020年、長谷部浩の劇評は、星を打ちます。

 新年から新しい試みを始めます

 今後は、劇評を掲載するたびに、星を打とうと思っています。五つ星が満点です。

 英国の新聞では、評価の基準として、五つ星から一つ星までが劇評とともに、紙面に載っています。

 劇場の看板には、こうした劇評の一部が紹介されるとともに、星の数が添えられています。英国では批評と星が文化として根付いています。

 ならば、日本はどうでしょうか。演劇界の古老にも伺ったのですが、シリアスな批評に星が打たれたのは記憶にないとのことでした。

映画の場合
 もちろん、みなさんご存知のように、映画の世界では、星を打つことはそれほどめずらしくはありません。たとえば週刊文春の映画欄には複数の筆者による星が打たれています。

 映画の場合は、その日に何を見るか決める観客も多いことでしょう。この頃は、シネマコンプレックスでは、十種類以上の映画を選ぶことができます。これが観たいと決めていない観客にとって、星が一つの目安になっているように思います。

星をつける目安
 ここで一応の目安を示しておきます。

★★★★★ その年を代表する舞台です。年間を通じて、5本以内を考えています。

★★★★ 私が観て、心を動かされた舞台です。万難を排して、行くことをおすすめしたい舞台です。

★★★ よい舞台です。入場料とのバランスもよく、おすすめできます。おそらく、劇評を書く以上、八〇%くらいの舞台が、この評価になると思います。★★★だからといって、けなされたと思わないで下さい。

★★ 台本が気が利いているとか、ひとりの俳優がすばらしいとか、よい点があるのだけれど、作品全体としてみると疑問です。

★ お薦めできません。

逆の効果もあります
 映画について思うのですが、この筆者が褒めている、高い評価を与えているから観ない。とか、この筆者が低い評価を与えているから、ぜひ観るという態度決定にも使われているような気がします。

 noteを始めた理由のひとつは、これまでにやっていなこと、新しいことをやってみるという挑戦でした。

 星を打つことの弊害があるのは、もちろん承知しています。

 承知していますが、このnoteの場合、星は私の私感です。メディアの権威にすがっているわけではありません。

 また、先のように、長谷部がけなしているから、きっと面白いはずだ、ぜひ観てみようという観客も現れるかも知れません。

星の基準はなんなの?
 ならば、星の基準はなんなのでしょうか。

 これはなかなか難しい問題です。その作品への期待感とも連動しているでしょう。

 著名な演出家が有力なキャストを得て上演した作品が成果をあげなければ、低い評価になるかもしれません。

 逆に、あまり期待していなかった舞台が佳品だった場合は、高い評価になるでしょう。
 星は絶対的なものではありません。当然、その年、その時期にもよります。相対的なものだといえるでしょう。

 これまで、舞台作品に星をつけた経験はありません。はじめは手探りで、試みていくことをご理解下さい。

 ならば、2019年の舞台ならば、長谷部浩は、どの舞台に五つ星を付けるのか? 
 この質問には、今の時点でもお答えできます。
 ふたつの舞台を選びました。

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年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。