野田秀樹『Q』(初演2019年)を思い出す。なんだ、私はこのときから、邪悪な力のことを考えていたんだ。
現在、東京芸術劇場で上演中の野田秀樹作・演出『Q』の初演について、私は雑誌『悲劇喜劇』(2020年1月号)に、十五枚の劇評を書いている。
野田の『野田版 研辰の討たれ』が初演のときには、歌舞伎座を大きく震撼させたが、十八代目勘三郎襲名の折、再演では、福助が扇をかざして「あっぱれじゃ」と言い放った部分も、それほど違和感なく観ることができた。初演と再演のあいだには、仮にまったく同じ演出だとしても、時代の変化とともに、私たちの受け止め方は、ずいぶん隔たりが生まれる。
初演の劇評に興味を持ってくださる方は、ぜひ『悲劇喜劇』のバックナンバーを、図書館などであたっていただければうれしい。ここでは、今、私が再読して気になる部分を抄録しておきたい。
年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。