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【劇評157】『風の谷のナウシカ』夜の部(下)。菊之助は「母」となりうるか?

 

粘菌は世界を覆い尽くす

 夜の部の物語は、兵器として作られた粘菌が大きな役割を果たす。
   皇弟ミラルバは、粘菌を兵器としようとする。大地が人の住めない腐海になろうとも怖れない。

 原作が成立した時点では、まだ緊急のものとなっていない世界の問題が、ときに顔を出す。たとえば、この粘菌の件りで、テロや化学兵器や温暖化に何の対策も講じない(講じることさえできない)権力者が思い出されたりもする。

  物語は、ミラルバの兄ナムリスが弟にとって変わり、さらに大地の破壊がエスカレートするあたりから急変する。
ナウシカもトルメキアのヴ王(歌六)、クシャナ(七之助)までもが、土鬼の聖都シュワをめざしていく。だれもがカタストロフへこの星が進んで行くのを止められない。

巨神兵の覚醒

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年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。