【劇評319】宮沢章夫独特の感覚が、舞台によみがえる。笠木泉演出の『砂の国の遠い声』
唐突かもしれないけれども、劇壇 GALBA、宮沢章夫作、笠木泉演出の『砂の国の遠い声』を見ながら、人が蒸発することについて考えていた。
さまざまな理由があるのだけれども、家族や職業を捨てて、人は、ふっと姿を消してしまう。残された人間は、その理由を探ろうとするが、消えたという事実の重みによって、混乱がもたらされる。
宮沢章夫の奇想は、砂漠監視隊の七人が、閉ざされた空間で、生活共同体を営んでいるのだが、消えたコバヤシが戻ってきたという設定にある。彼は失踪した期間の記憶が