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長谷部浩のノート お芝居と劇評とその周辺

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2021年11月の記事一覧

【劇評243】包容力のある菊五郎の工藤。父の教えを愚直に守る巳之助。そして、千尋の谷を上がってきた千之助。

 九月の半ば、帯状疱疹という病気に罹患した。  発熱と激痛に襲われて、一週間はほぼ寝たきりで過ごした。そののちも、患部の治りが遅く、毎週皮膚科に通った。また、困ったことに、鈍痛と電気が走ったような痛みが残ったので、二種類の強い痛み止めが手放せなくなった。劇場通いもままならず、厳しく辛い日々が続いていた。  歌舞伎座も十月はなんとか痛みを押して観た。  十一月になっても痛みは治まらない。  困ったことに、強い痛み止めは、眠気を誘う。十一月吉例顔見世大歌舞伎の第二部は、六日に観

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長編評論『儀式の日常化』十八枚。2006年に初演された『THE BEE』。その軌跡を辿ります。

 評論 長谷部浩『儀式の日常化』(『野田秀樹の演劇』河出書房新社 2014年)を、ここに再録します。  2006年に初演された『THE BEE』から、2012年の一月から三月まで、イン グリッシュ・バージョンは、ニューヨーク、ロンドン、香港をめぐるワール ドツアーまで、この作品の軌跡を辿ります、。  暴力が極限にまで行き着くとき、人は何を聴くのか。 野田秀樹が二○○六年六月、ロンドン、ソーホーシアターで発表した 『THE BEE』は、芸術性と大衆性の綱渡りによって、現代

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【劇評242】野田秀樹が、阿部サダヲという化身を得た『THE BEE』2021。10枚。

 筆者が大病にかかったために、掲載が遅れたことをお詫びします。初日に観た『THE BEE』の劇評をお届けします。お待たせいたしました。  『THE BEE』については、2006年、ロンドン、ソーホーシアターでの初演以来、ヴァージョンを改めるたびに劇評を書いてきた。  河出書房新社から出した『野田秀樹の演劇』(2014年)の「『儀式』の日常化」には、この戯曲と野田の演出の方向については、もう、書き尽くしたと思っていた。  はじめは英語で書かれ、のちに日本語に翻訳された作品

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