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尾上菊之助の春秋 その壱 春

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尾上菊之助さんの話題が中心のマガジンです。筆者の長谷部浩は、『菊之助の礼儀』(新潮社)を以前、書き下ろしました。だれもが認める実力者が取り組む歌舞伎、その真髄について書いていきま…
有料記事をランダムに投稿します。過去の講演など、未公開の原稿を含んでいます。アーカイヴが充実すると…
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2020年7月の記事一覧

歌舞伎の大立者たちは、どう動くのか。

歌舞伎の大立者たちは、どう動くのか。

菊之助の動向が気になる。

三月、新橋演舞場での公演が中止になって以来、歌舞伎の舞台には立っていない。

今日はいってきたニュースは、十月名古屋御園座への出演である。これも、十月歌舞伎公演、出演菊之助とあるだけで、共演者も演目も明らかにされていない。

また、九月に関しては関係者の話によると、歌舞伎座に出演とのことである。ただ、近年、九月は吉右衛門を中心とした秀山祭とされていたが、今回はどうなるか

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平成中村座の菊之助

平成中村座の菊之助

 平成二十二年の十二月、尾上菊之助は、中村勘三郎のすすめによって、平成中村座の公演に参加している。その経緯については、『菊之助の礼儀』(新潮社 2014年)に詳しく書いた。

 公演が実現するにあたっては、同じ年の三月十八日に、打ち合わせを行っている。このとき提案した演目については、『菊之助の礼儀』にすでに書いたが、演目を並べただけではなく、いささかの説明を加えた文書があったのを思い出した。
 コ

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八月歌舞伎座。四部制の意味を考える。

八月歌舞伎座。四部制の意味を考える。

 歌舞伎座から案内が来て、実際、紙としてのチラシを受け取ってみると、感無量でした。
 いよいよ始まる。
 四部制との変則的なかたちだが、
 納涼歌舞伎が三部制で行われたときも抵抗はあったのだから、格別、気にする必要はないのかもしれない。
 むしろ、狂言、ひとつひとつに価値が付けられるやり方は、當世ではある。
 さらに、この考えを推し進めれば、演目や顔ぶれによって、一本の値段が違うこともありえるのだ

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