マガジンのカバー画像

天才と名人の息子たち。勘九郎、七之助、巳之助のいま。

52
十八代目中村勘三郎、十代目坂東三津五郎とは、筆者と同世代でもあり、彼らの舞台を熱心に観てきました。歌舞伎の伝承の基本には、家の藝があります。勘九郎、七之助の中村屋、巳之助の大和屋…
更新は不定期です。勘九郎、七之助、巳之助の舞台の劇評を中心に、映像などの周辺の仕事を書いていきます。
¥980
運営しているクリエイター

#歌舞伎

【劇評317】歌舞伎座で歌舞伎らしい歌舞伎を観た。仁左衛門が融通無碍の境地に遊ぶ『…

   十一月歌舞伎座、夜の部は、久し振りに歌舞伎を観たと実感できる狂言立てだった。世代を…

300
長谷部浩
10か月前
8

松たか子の才能と、忘れられぬ思い出。『兎、波を走る』を見て。

 朗読劇ではなく、モノローグの名手として、松たか子は長く記憶されるだろうと思う。  その…

300
長谷部浩
1年前
15

【劇評289】幸四郎、七之助の『十六夜清心』に、梅玉のいぶし銀の藝を観た。

懐かしい光景が甦ってきた。  河竹黙阿弥の『十六夜清心』を通しで観る喜び。三部制によって…

300
長谷部浩
1年前
6

【劇評279】平成中村座。奇想天外で芝居のおもしろさがぎっしり詰まった宮藤官九郎の…

 面白い芝居を観客はよく知っている。  満員御礼となった平成中村座の第二部。宮藤官九郎作…

300
長谷部浩
2年前
3

【劇評272】幸四郎、勘九郎、猿之助の役者が生きる第二部。

 八月納涼歌舞伎第二部は、幸四郎、勘九郎の役者で見せる『安政奇聞佃夜嵐』(古河新水作、巌…

300
長谷部浩
2年前
3

【劇評271】手塚治虫ワールド満載。十八代目勘三郎のDNAを受け継ぐ清新な『新選組』。

 新しい風が、舞台を吹き抜けた。  八月納涼歌舞伎第一部は、手塚治虫原作、日下部太郎脚本…

300
長谷部浩
2年前
4

【劇評258】右近、巳之助の『弁天娘女男白浪』は、歌舞伎の未来を予告する。

 歌舞伎座で『京鹿子娘道成寺』を踊るのは、女方舞踊の頂点に立つひとりと認められるに等しい。世話物では、『弁天娘女男白浪』の弁天小僧菊之助を勤めるのは、同じような意味を持つだろうと思う。  音羽屋六代目菊五郎の藝統を継ぐ者として、中村七之助、尾上右近は、いずれはこの役を歌舞伎座と願っていたはずだ。七之助は、平成中村座で何度も勤めているが、歌舞伎座では右近が先んずることになった。

¥300

【劇評250】禍々しい人間の業を吹き飛ばす勘九郎の『天日坊』。

 邪気を吹き飛ばすには、何が必要か。    黙阿弥作 串田和美演出・美術 宮藤官九郎脚本の…

300
長谷部浩
2年前
7

【劇評248】芯に立つ役者の力量。菊之助の『鼠小僧次郎吉』

 鼠小僧すなわち義賊との思い込みがあるが、黙阿弥の『鼠小紋東君新形   鼠小僧次郎吉』は…

300
長谷部浩
2年前
9

【劇評247】勘九郎、愛嬌に溺れぬ『一條大蔵譚』。

 勘三郎家にとって大切な『一條大蔵譚』。勘九郎は、父十八代目、祖父十七代目を受け継ぎつつ…

300
長谷部浩
2年前
3

【劇評245】菊之助、勘九郎。哀惜こもる『ぢいさんばあさん』。

 目を瞠らせるスペクタクルばかりが歌舞伎ではない。  台詞を大切にした世話物が観たいと思…

300
長谷部浩
2年前
6

【劇評237】勘三郎が演じていない役を、勘三郎のように演じてみせる勘九郎。七世芝翫…

 懐かしい演目が歌舞伎座にあがった。  北條秀司の『お江戸みやげ』は、十七代目勘三郎のお…

300
長谷部浩
3年前
5

【劇評235】七之助、真に迫る豊志賀の恨み。勘九郎の洒脱な狸の踊り。

 七之助が恨みの深さを存分に見せる。  『真景累ケ淵 豊志賀の死』は、明治を代表する落語…

300
長谷部浩
3年前
3

【劇評234】巳之助代役の『加賀見山再岩藤』。上上吉の出来映え。

 代役は、役者が大きくなるための好機である。  猿之助の休演を受けて、巳之助が八月花形歌舞伎第一部で、芯となる役を勤めた。  『加賀見山再岩藤』では、鳥井又助に配役されていたが、この役は鷹之資に渡した。巳之助は、多賀大領、御台梅の方、奴伊達平、望月弾正、安田隼人、岩藤の霊の六役を早替りで演じ分けた。  早替りであり、しかも、今回は上演時間を二時間以内に収めての「岩藤怪異編」である。すべての役が書き込まれているわけではないので、出の一瞬に勝負が決まる。また、弾正と岩藤の霊は

¥300