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天才と名人の息子たち。勘九郎、七之助、巳之助のいま。

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十八代目中村勘三郎、十代目坂東三津五郎とは、筆者と同世代でもあり、彼らの舞台を熱心に観てきました。歌舞伎の伝承の基本には、家の藝があります。勘九郎、七之助の中村屋、巳之助の大和屋… もっと読む
更新は不定期です。勘九郎、七之助、巳之助の舞台の劇評を中心に、映像などの周辺の仕事を書いていきます。
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記事一覧

【劇評329】勘九郎、長三郎の『連獅子』。名人、藤舎名生、裂帛の笛に支えられ、難曲…

 勘三郎のDNAが確実に、勘太郎、長三郎の世代にまで受け継がれている。そう確かに思わせたの…

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長谷部浩
2か月前
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【劇評323】色気したたる松也の『魚屋宗五郎』。妹のお蔦はどれだけ殿や岩上を狂わせ…

 色気があり、キレ味のよい宗五郎を観た。  松也が勤める宗五郎は、単に断酒を破った酒乱の…

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長谷部浩
4か月前
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【劇評322】玲瓏たる玉三郎演出の『天守物語』は、本年の突出した収獲となった。

 透徹した美意識は、どこへ辿り着くのか。  泉鏡花作、坂東玉三郎演出の『天守物語』を観て…

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長谷部浩
4か月前
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鶴松がお光を勤める『野崎村』。勘三郎の思い出。

 猿若祭二月大歌舞伎。もう十三回忌となるのか。墓参りは欠かさないようにしているが、今も、…

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長谷部浩
5か月前
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【劇評317】歌舞伎座で歌舞伎らしい歌舞伎を観た。仁左衛門が融通無碍の境地に遊ぶ『…

   十一月歌舞伎座、夜の部は、久し振りに歌舞伎を観たと実感できる狂言立てだった。世代を…

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長谷部浩
6か月前
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【劇評312】歌六、勘九郎、児太郎の『金閣寺』。力作が揃う吉右衛門三回忌追善。

 祖父と孫の共演は、なぜ、ここまで観客の胸を打つのだろうか。  秀山祭九月大歌舞伎は、二…

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長谷部浩
8か月前
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【劇評309】幸四郎、勘九郎の意気地。若手花形の成長を楽しむ『新門辰五郎』。

若手花形の充実が急がれる課題であるとすれば、真山青果の群像劇『新門辰五郎』を第二部の出し物とするのは、なるほどと膝を打つ、見事な企画である。

有料
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松たか子の才能と、忘れられぬ思い出。『兎、波を走る』を見て。

 朗読劇ではなく、モノローグの名手として、松たか子は長く記憶されるだろうと思う。  その…

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長谷部浩
10か月前
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【劇評301】歌舞伎役者の一員として責任を果たす。初代尾上眞秀の初舞台。

 上演年表を眺めて飽きることがない。  もっとも手軽なのは、歌舞伎座の筋書で、戦後ではあ…

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長谷部浩
1年前
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【劇評289】幸四郎、七之助の『十六夜清心』に、梅玉のいぶし銀の藝を観た。

懐かしい光景が甦ってきた。  河竹黙阿弥の『十六夜清心』を通しで観る喜び。三部制によって…

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長谷部浩
1年前
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【劇評287】目に焼き付けておきたい玉三郎の揚巻。

 師走の襲名披露は、一年の締めくくり。しかも夜の部は、配役を一新した『助六由縁江戸桜』が…

長谷部浩
1年前
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【劇評282】團十郎襲名の『助六由縁江戸桜』。成熟か、それとも野性か。

 成熟を取るか、野性を取るか。  もちろん、二者選択ではないが、十三代目市川團十郎襲名披…

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長谷部浩
1年前
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【劇評279】平成中村座。奇想天外で芝居のおもしろさがぎっしり詰まった宮藤官九郎の…

 面白い芝居を観客はよく知っている。  満員御礼となった平成中村座の第二部。宮藤官九郎作…

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長谷部浩
1年前
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【劇評278】熱狂の平成中村座。勘九郎、七之助が若手花形を引き立てる。進境著しい獅童。五枚半。

 歌舞伎に、沈黙は似合わない。  客席にある種の熱狂があってこその歌舞伎であって、コロナウィルスの脅威が私たちを襲ってから、この興奮状態を忘れかけていた気がする。  久し振りに浅草、浅草寺境内の平成中村座を埋めた観客は、熱い歌舞伎を待ち望んでいた。  全身全霊を賭けて芝居をする役者を観たい、この緊密な空間に身をおきたい。こうした観客の願いが、強く感じられた。開幕を待つときのざわめき、役者の出に向けて贈られる拍手、いずれも、私たちが待ち望んでいた劇場のありかただった。  

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