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野田秀樹の宇宙

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現代演劇を代表する劇作家・演出家・俳優の野田秀樹についての劇評、エッセイをまとめました。 近年の野田の仕事が見渡せるマガジンです。長谷部は、二十代から野田の仕事を見守っています。…
このマガジンは、近年の野田秀樹の仕事を振り返るだけではなく、現在の動きもフォローアップしていきます…
¥1,480
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#野田秀樹

【劇評345】法廷劇に巻き起こる風。野田秀樹作・演出『正三角関係』。

 『正三角関係』には、何が賭け金となっているのだろう。 ずいぶん以前、夢の遊眠社解散のと…

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長谷部浩
1か月前
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【劇評家の仕事1】 野田秀樹の『正三角関係』を観る前に、『カラマーゾフの兄弟』を…

 劇場に行く前に、戯曲を読むかどうか。  これはなかなかむずかしい選択です。  もっとも…

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長谷部浩
2か月前
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来週の月曜日、野田秀樹について、まとまった講義をします。

 月曜日の講義のために、この数週間、準備を進めてきました。原稿はようやく昨日、ほぼ完成し…

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長谷部浩
7か月前
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【追悼】近くて遠い人。写真家、篠山紀信の想い出。

 神出鬼没の人だった。  篠山紀信と会った場所を思い出せばきりがない。青山のスタジオはも…

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長谷部浩
7か月前
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【劇評306】野田秀樹渾身の問題作。『兎、波を走る』は、私たちを挑発する。十枚。

   ドキュメンタリー演劇ではない。プロパガンダ演劇でももちろんない。  けれども、モデル…

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長谷部浩
1年前
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『新潮』の戯曲、『文學界』の劇評、7月7日、七夕ですので、あわせてお読みいただけ…

 雑誌『新潮』に野田秀樹さんの戯曲、『兎、波を走る』が掲載され、今日、七夕の日に、書店に…

長谷部浩
1年前
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松たか子の才能と、忘れられぬ思い出。『兎、波を走る』を見て。

 朗読劇ではなく、モノローグの名手として、松たか子は長く記憶されるだろうと思う。  その才質を高く買っているのは、野田秀樹である。『オイル』(二○○三年)『パイパー』(○九年)、東京キャラバン駒場初演(一五年)、『逆鱗』(一六年)、『Q』(一九年)、そして今回の『兎、波を走る』、数々の舞台に出演しているが、落ち着きと包容力のある声が立ち上がってくる。  叙情的に台詞を唄って観客を泣かせるのではなく、叙事的に物語を再現して見せて、ここではない現場の光景を描出してすぐれている

¥300

なかなか読み解けぬ『兎、波を走る』を二度観て。

 気の張る劇評を書き終えて、再校を読んでいます。  急に昨夜、細部で確認できていない部分…

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長谷部浩
1年前
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AIが、野田秀樹作らしき戯曲を書き上げるのは、何年後なのか?

 NODAMAPが公演ごとに発行しているパンフレットは、中身がぎっしり詰まっていて読み応えがあ…

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長谷部浩
1年前
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高橋一生、その光と影

 現在、東京芸術劇場で上演されている『兎、波を走る』(野田秀樹作・演出)で、高橋一生は、…

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長谷部浩
1年前
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『兎、波を走る』をめぐって。

 野田秀樹のリソースについては、ほぼ同年代のために、ある程度想像がつく。  今回の『兎、…

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長谷部浩
1年前
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【劇評288】東京キャラバンが帰ってきた。野田秀樹が仕掛けたケレンが炸裂する芸能者…

 2015年10月、「東京キャラバン」の公開ワークショップを、駒沢公園で観てから、ずいぶん…

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長谷部浩
1年前
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【追悼】高都幸男と空中楼閣

 高都幸男さんが亡くなった。最後に会った日を忘れてしまうくらい音信がない。おそらくは、野…

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長谷部浩
1年前
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俳優マルチェロ・マーニさんの優しさと哀しみ。

 俳優のマルチェロ・マーニさんが亡くなった。深いお付き合いではなかったが、とびきりの笑顔の持ち主だった。もう20年近く前になるけれども、彼が創立にかかわったコンプリシテの作品で修論を書くと決めたので、話を聞かせてやってほしいと楽屋にお願いに行った。そんなときも、急がしいそぶりなど、みじんも見せずに、応接してくださったことが忘れられない。    私が接した舞台は、野田秀樹作・演出がほとんどだけれども、1996年の『赤鬼(RED DEMON)』で「とんび」役を勤めたときの幕切れが