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劇評家の仕事

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二五歳の頃から、ずいぶん長い間、途切れることなく劇評を書いてきました。なぜ、こんな仕事を選んだのか、日々どんなことを考えて劇場に行くのか、原稿を書くにあたってどんな資料にあたった…
不定期ではありますが、四季折々に考えたこと、書くことの楽しみ、そして苦しみについても書いていきます…
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2024年6月の記事一覧

【劇評家の仕事7】文体模倣までしました。渡辺保と扇田昭彦が私に与えた影響

 劇評を書き始めた頃、十代後半から二十代は、先行する劇評家の文章をよく読んでいました。 …

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長谷部浩
3か月前
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【劇評家の仕事6】視力を失う恐怖感は、いつも頭を去らない。

 批評家にとって、何が一番大切なのか。  月並みですが、劇場に行って、資料を読み、劇評を…

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長谷部浩
3か月前
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【劇評家の仕事5】遊興の徒となるべく、学生時代を過ごしました

 なぜ、文藝でもなく、映画でもなく、演劇評論家になったのでしょうか。  ひとことで答える…

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長谷部浩
4か月前
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【劇評家の仕事4】中谷美紀の『オフ・ブロードウェイ奮闘記 』を読んで。

 書くのをやめないこと  演劇評論家と名乗り続けてきました。そのためには、批評を書き続け…

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長谷部浩
4か月前
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【劇評家の仕事3】劇評は、客観的な審判ではなく、きわめて個人的な営みです。

 劇評は、舞台の分析、位置づけのためにあります。  舞台がおもしろかったか、観るに値する…

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長谷部浩
4か月前
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【劇評家の仕事2】長谷部の批評は、歴史性がないエッセイである。

 今はもうない雑誌「新劇」に劇評を書き始めました。私は二十五歳でした。また、お話する機会…

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長谷部浩
4か月前
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【劇評家の仕事1】 野田秀樹の『正三角関係』を観る前に、『カラマーゾフの兄弟』を読むべきか。くやしいので私は読みます。「正三角関係」のトリプルミーニングについて。

 劇場に行く前に、戯曲を読むかどうか。  これはなかなかむずかしい選択です。  もっとも、シェイクスピアやチェーホフのような古典は、すでに戯曲を読んでいますし、異なる演出家の上演を何度も観ています。また、たとえば、新訳による上演であっても、ことさら事前に戯曲を読むようなことはまず、ありません。  ならば、新作の場合はどうか。『悲劇喜劇』のような演劇雑誌に掲載されていても、丹念に読んだりすることは、今までしてきませんでした。英・ガーディアンのマイケル・ビリントンの劇評集のタ

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