強豪校のマナー

 令和五年九月十七日、富山県秋季高校野球大会の高岡商業対富山商業戦を県営野球場で観戦した。時折、飛行機がジェット音とともに飛び立ってゆく初秋の空を眺める筆者は、残暑の強烈な日差しを浴びて汗だく。
 強豪校同士は互いに譲らず、序盤戦は膠着した状態が続く。三回裏に先取点を奪ってからは富商ペースの中盤戦。試合が動いたのはクーリングタイム直後の六回表。富商エースがマウンドで足をつった。回復を試みるが叶わず投手交代。高商は八回表の好機を逃さず二点を奪って試合を振り出しに戻し、勢いのまま九回表になだれ込む。一死三塁、スクイズで手堅く逆転。追加点も奪って、富商の反撃を許さず逃げ切った。
 強豪校のマナーを一つご紹介したい。高商ナインは皆、四球を選ぶと一塁側に一歩くらいの同じ位置に丁寧にバットを置いて一塁に向かっていた。県内チームでは初めて見た。嬉しい驚きだった。

令和五年九月


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