ボケ日記その13
そしてリーさんや宮崎夫婦と定期的に海に入るみんな一緒にならないのは問屋都合で多く取れても需要供給バランスがあり特にシーズン期は3月から6月でそれ以外は数がいらないそりゃ真冬に釣りする人も少ないだろう。オレは取れたボケを親方の所に持って行くので絶対オレと誰かの形になる親方息子達は皆仕事していて正直なところボケ漁にそんな興味が無く取れないと金にもならないので「マー君やってくれてマジ感謝」である。オレはこの頃何とか取れるよう一つのエンジンから2本出したホースの先を更に2つにわけノズルを増やすやり方を思いつき最大5本ノズルを作成
そう一本でちまちまより一気に数を増やせば大きく穴が掘れるボケも沢山取れると
海水のある所にエンジンを置き干潟にホースを引っ張るので範囲がこれ以上先にはいけない事も解消するためにもう一つ小型エンジンを買い途中中継に使えばとか背中で背負ってもっと先に行けるとか色々試行錯誤していた。
全部ダメだった。
エンジンポンプ海水吸い上げの距離は長くなるほど吸い込まないし小型エンジンだとパワーが足りないノズルを増やした所で穴は掘れるが穴を掘ったらボケが出るものでも無かった。この頃オレは取り憑かれたように頭の中はボケジャコ一色で毎日ブツブツ呟きながらホームセンターにいきその夜海に行き色々試し失敗の繰り返しの日々が続いた。そんな時期に
まーくんそういえば海に他の人いる?と親方が聞いてきた
他の人?
うんリーさんとか宮崎さんじゃない人
エンジン積んで?
そう。
今のところ誰もいないかなぁ
もし誰か来たらすぐに教えて
と。他にはとりあえずいないがここの場所は清水親方の縄張りで他の人には取らせない的な話をしてきた。縄張りって言っても海に境界線やマイ海岸でも無いわけで法的な何かは無いってかオレ達も大丈夫なのか?であるちょこちょこ何か取ってる人はいるがエンジン下ろしてなんてのはオレ以外いない。
前に清水親方の所にいた若い子がいてその子がね…何か凄いんだよ…と。
凄い?
うん。とにかく凄いんだよ
どういう事?
うちの息子達とも喧嘩になってさそれでうちではもう無理ってなって…とにかく凄い子でさ…
いやだから何が凄いの?
…とにかく凄いんだよ
全く何が凄いか教えない女親方それはいかついのか暴れん坊なのか…なんかそんなん来たら面倒くせえなぁ
とにかく凄いから気をつけてすぐ連絡して
最後まで何がどう凄いか言わない親方コレはなんだ?トンチか?身の丈2メートルぐらいあって髪型は落武者ヘアー全身ピアスの相撲取りとか言うのか?
まぁいいそれはそれで何が凄いか楽しみでもある
あともう1人前にうちにいた人でさ…年寄りがいるんだけど…キヨコの元旦那でね
キヨコというのは親方同様オレの実姉悪友達である名前からしてツッパルコトガたった一つの勲章な感じ
それはまーくんボコボコにしていいから
な…なにを言い出す?
変なじいさんでさもうやっちゃっていいから
おいおいおいおいバイオレンス言い出してるよ。しないよそんな事ってか爺さんなんだろ?ああもう面倒くせーー展開なってきた。
まぁ頭に入れとくよ。
そしてまだこの頃は寒く潮が夜型で夜中に行ってダメな時はすぐ帰ったり
釣り人もいなくて何か怖い時は入らず帰ったりしてたまにリーさんや宮崎夫婦と入ったりだが基本1人で行っていた
前よりは取れるようになってきて大体10000円ぐらいにはなるがまだまだダメなのでやっぱ1人より2人だなと配達出稼ぎカズコが休みの時は2人で行っていた
ある日リーさん達と入ってた時リーさん達は俺より遥かにボケをとるのでその場所を覚えとこうと見ていると人間の数が合わない事に気がついた。この日はリーさん3人と俺とカズコでそのうちガチャ目リーさんは入らず段取りだけして車で寝ている 遠く離れた所にリーさんとリーさんの頭につけたライトが見えるそこから少し離れた所にもう一つライトがみえた。
ああアレは知らない奴だな
何だろかこの気持ち俺にも縄張り意識が芽生えたのかおいおいオメー誰に断ってここで漁してんだ?おうコラッ!的な芽生え
カズコにあいつ見てみろ知らねえ顔だぞキョトンとするカズコ(一連の流れを知らない)どうしてくれようかと見てるとオレが見てる事に気がついたようで物凄いスピードで海から上ろうとしている
逃してなるものかオメー誰のシマでな気持ちでゆっくり追いかける。だって追いついたら怖いもんをよそ目にエンジンを引っ張り上げるその人物そして脚立を使わず2メートルはある岸壁をするする登りあっという間にいなくなった。
まるで忍者のような身のこなしでそいつは行ってしまった。
誰だかはすぐにわかった。親方の言っていた奴だ
そうキヨコの元旦那
では無く何か凄い奴の方
続く。
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