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ボケ日記19

多分6月ぐらいの話でこの頃になるとボケ漁はシーズン後半となる。 

いや問屋は一年中でも欲しいわけだが真夏だとボケジャコは暑さに弱く関西地方まで届ける事が難しくなるわけだ。それに宮崎夫婦によると取り子すなわち漁する人間も熱さで倒れるとの事。 

カズコがオレに言う 

クール宅急便で届ければいいんじゃね? 

全くその通りである。このぐらいの時期でも取ったボケを出荷するのに発泡スチロールの箱にボケの箱を6段ぐらい乗せて間になんたアレなんていうんだっけの冷たいやつ氷でなく青い平たい冷たいやつを何個も入れて発泡の中を冷やしながら運ぶんだが普通にクール宅急便で出しても値段的に500円とかの違いで生きたまま届けるならそれにすればいいのにである。

まぁ基本的に出荷までは俺たちはやらない親方に取ったばかりのボケを渡すまでが仕事で出荷は親方がやる。親方も俺たちに問屋は教えたがらないのもある。そりゃ俺たちが直接取引きされると中抜きできなくなるからで例えば100匹送っても途中死んだのが多いと金も下がるとの事で90匹分の金だけくれるつまりここの部分は信用だけの話俺たちが500匹とったとしても親方が半分死んでたよ言われるとその半分の金額しかもらえない嘘だとしてもの理不尽ルールである。本当なら俺たちも数を数えて渡した時点での数量で金をもらうのが筋なのに何故か送った数量となっていた。 

そして採れたて新鮮な状態で送ればそれだけ死なないのになぜか冷蔵庫に1日保管してから出荷しかもクール使わず普通の配送

バカなのかなこの業界それとも俺たちで

理屈を聞いたらとにかく繊細な生き物で取り立てホヤホヤは元気だがザルに大量に入れてるとオス同士だと喧嘩になり弱ったりするとか爪が取れても弱るとかで一度取ったものを四角い平たい箱に入れ直しそこに海水をいれる身体半分浸かるぐらいでそれを一日冷蔵庫で冷やしすぎないよう保管して出荷の時手作業で別の箱にいれなおす時死んだやつを避けると。死んだやつが一緒にいると他の元気なやつもそのナニカが分泌されて弱るからとかでとにかくそれがルールであった。

それって絶対ヤッてんなとカズコが呟く 

あたしらにわかんないもんそんなの親方のさじ加減だし絶対やってんな。 

…まぁいいじゃねえかそれがあんまりひどくて金にならないならやめればいい 

いや…でも絶対やってんなとカズコ 

なにがいやなのか言葉の頭に否定で入る女

まぁこれが基本であるが過去に昨日のボケ全部死んだとか言われてタダ働きもあったりオレなりに疑惑は募っていてそれならばとリーさんやライバル広沢君などから聞いて完璧な状態で渡す事にした何を言われてもこれ以上無い状態で御ろす。そして数も数える事になり益々プロっぽさが増す居酒屋ハルヤトップ2人であった。

後日違う問屋と話す事があって関西地方で問屋通しは仲良くは無いが情報は行き交っていてあそこの問屋のボケはイマイチとかあるようで当時降ろしてた問屋は3日ぐらいは生き餌で保管できるぐらいで他の腕のいい問屋は死にそうでもそこから2週間はボケを復活させ生き餌として保管できるとか問屋でも様々である。

なので更にオレは海水にもこだわり俺たちの漁場は河口から海になる場所なので引き潮から満ち潮に完全に戻らないと塩分の低い海水になるとかで真水に近いとそれまた状態は悪くなる…ああもう何だよこのぼけじゃこめんどくせぇええええすぐ死んじゃうとかがああああああああともなっていた時期でもある。 

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続く

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