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「テクノロジーでラクラク節電キャンペーン」始めます

本日から、「テクノロジーでラクラク節電キャンペーン」を開始した。

これは、Natureの創業当初から構想していたNature Remoを使ってエアコンの温度調整をすることで電気の需給逼迫の解消を助けるというもの。実は、Nature Remoはこれを実現するために作られたものだ。

一部のプラン(スマートプラン)では、先行して実現できていたのだが、今回のキャンペーンの実施で、人気のフラットプランやハイブリッドプランでもデマンドレスポンス(電気の需要(消費)と供給(発電)のバランスをとるために、需要家側の電力を制御すること)が可能となった。つまり、Natureで販売している全ての電力小売りメニューでデマンドレスポンスに対応できたことになる。

創業当時から思い描いていたことが実現するのはとても感慨深い。ここに辿り着くまでにこの6年間で経験してきたことがフラッシュバックするかのように思い出される。

クラウドファンディングで支援していただいた後に、製品出荷が約1年弱遅れてしまったことは本当に支援していただいた方に申し訳なかった。当時は、品質を追求する我々と香港のプラスチック工場の間で連日連夜に渡る折衝の日々だった。何度、「そこまでの品質を要求するならこの金型持って行って自分で作れ!」と怒鳴られたことか。

これまでに本気で倒産を覚悟したことが2度あった。

1度目は、Nature Remo発売前の品質問題が発覚した時。既にクラウドファンディングの支援者には製品を出荷済だった。お金がなくて、自分たちも薄給で働いていている状況で、製品出荷に全てをかけていた中での出来事だった。投資家にも、倒産覚悟で支援してくれた方には誠意な対応をしたいと説明して、不具合品は交換対応をした。
その時、必要であれば資金は援助するので、やるべきだと思う対応をしてほしい。と言ってくれた投資家の津幡さんの言葉には本当に助けられた。結局、発売後にNature Remoが爆発的に売れたので、綱渡りの資金繰りではあったが追加での資金援助を受けることなく、なんとか一命を取りとめた。

2度目は、共同創業者の離脱。創業当時、1年弱かけて口説いて参画してくれた大塚さんは、海外で子どもを育てたいという思いがあった。米国での転職の話が纏まりつつあったところを蹴って、「自分の今までやってきた赤外線リモコンの技術が、電力の需給逼迫の課題に貢献できるのは面白い」とNatureを一緒に立ち上げるという道を選んでくれたのだ。当時Natureは、僕が通っていたハーバード・ビジネス・スクールのあるボストンに会社があって(と言っても、i-labという校内の起業支援施設を拠点にしていた)、僕もその思いを叶えたいと思っていたし、渡米のサポートをすることも約束していた。

しかし、Nature Remoは圧倒的に日本で売れて、製品発売まで2人体制だった僕らは最も需要の大きな日本市場でまずは立ち上げるという選択を取らざるを得なかった。そうこうしているうちに、大塚さんの子どもはどんどん成長し、ついにタイムリミットがきて大塚さんはエストニアに移住することになった。これは約束を果たせなかった僕に責任がある。一方で、事業存続が危ぶまれるような状況での唯一の救いは、僕たちが魂を込めて作ったNature Remoが爆発的に売れていたことだった(2~3ヶ月待ちの状況で数千台のバックオーダーが入っていて、ヤフオクやメルカリで3倍近い価格で取引されていた)。

当時の状況は、

1. パートナーがいなくて1人になった
2. 事業拡大するにはお金も必要
3. 事業を継続するにはサービス開発・運用が必要

と三重苦を抱えている状況。

創業当初から相談にのってもらっていた、Sansan創業者社長の寺田さんに状況を説明したところ、「その3つの課題を同時に解決しろ!!!」という力強いアドバイスをもらった。なるほど修羅場を潜ってきた起業家はそういう発想でピンチから這い上がってきたのかと、とても刺激になった。

その状況でまずは資金調達に奔走した。2017年10月、資金調達がまだ確定していない中でいちばん最初にNatureに入社を決めてくれたのが、ハードウェアエンジニアの神園、デザイナーの長尾だった。神園にいたっては、条件も聞かずに即答してくれた。その後すぐに、カスタマーサポートの梶本もジョイン。CS業務を全て彼が引き取ってくれた。2017年11月、その状況で僕と会社の未来を信じで1億円の出資を決めてくれたのが大和企業投資の後藤さんだった。2017年12月、開発の方は、当時受託で開発業務を引き受けていた村瀬と北原が開発業務を全面的にサポートしてくれることになった。最後に、大和企業投資との契約交渉も終え、無事に着金したのが2018年2月だ。

最初は無謀に思えた3つの課題を同時に解決ということが、なんとか3~4ヶ月で実現できたのだ。まだまだ危なげだった船に同乗してくれた仲間には感謝の気持ちしかない。その時のメンバーは、ほとんどみんな今でもNatureの成長を支える存在として大活躍中だ。発売前のいちばん苦しかった時期を共に戦った戦友である共同創業者の大塚さんともまたいつか一緒に仕事をしたい。

そんなNatureも今では約30名の体制にまで拡大して少しずつ会社っぽくなってきている(今期はさらにそれを倍にすべく全方位で積極的に採用中だ)。今回のデマンドレスポンスのプログラムは、開発責任者の北原が先行して作ってくれた仕組みをベースに、ソフトウェアエンジニアの小河(2020年10月入社)、事業開発の海原(2021年5月入社)、広報ながらなんでもこなすユーティリティプレイヤーの安部(2020年6月入社)という新メンバーがリードしてくれた。

創業当時から想いを馳せていた電力の需給逼迫を緩和するためのNature Remoの活用。それが、いろんな人の力を借りて、「テクノロジーでラクラク節電キャンペーン」という形で6年越しで今実現された。まだまだ小さな一歩ではあるが、Natureの「自然との共生をテクノロジーでドライブする」(2021年11月より「自然との共生をドライブする」に変更)というミッションを実現するためのとても大事な一歩だ。

ぜひ、これを読んでいただいたみなさんもご参加いただき、我々と一緒にデジタル電力革命の一躍を担っていただきたい。今四半期は、滞っていたNature Remo自体のサービス改善にも力を入れていきたい。

また、Natureでは全方位で仲間も募集しているので、ぜひ興味を持っていただいた方は、気軽にTwitterでDMをいただきたい。


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