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『ブレスオブファイアV ドラゴンクォーター』という極限状態チート合戦&性癖歪曲ゲームオーバー&脳汁ぶっぱEDな傑作RPG【レトロゲーム紹介】

ブレスオブファイアV ドラゴンクォーター』(以下『ドラクォ』表記)というゲームがある。


◆ドラゴンクォーター

2002年11月14日に発売されたカプコンのRPG『ブレスオブファイア』シリーズの五作目。現時点で最終作である。もう20年経過したので『Ⅵ』の発売発表は『ロックマンDASH3』くらい絶望であるが、もちろんめちゃくちゃ今でも待ち遠しい。待つさ。いくらでもな。

本作の目的はヒロインと共に地上へ進んでいき空を見ること。
文字だけではなんとも言いようがないが、この当たり前な尊さはクリアーされた方には何十年経っても昨日のことのように思い出せるほど素晴らしい。

プレステ2専用ソフトであり22年前のゲームならば十分レトロゲームの枠に足を突っ込んでいるのは否定できない。故に公式サイト(上記リンクとは異なる作品単独ページ)は現在閉鎖済なので、今回インターネットアーカイブからサルベージしてきた。
今でも断片的に閲覧できるんだな。廃墟巡りのようでちょっと感動させられた気分。

ぼくがプレイしたのはもう10年以上前である。
大変恐縮なことに断片的な知識しか話せない。「こいつほんとはやってないだろ」「他人のプレイ動画で見ただけのエアプだろ」と言われてもいいくらいふわっふわな内容をご了承いただきたい。これがホントの雑語りである。
中途半端な情報を開示するのもアレなので今回致命的なネタバレはない。22年前のゲームないし容易にプレイし難い作品にいまさらネタバレもクソもないと思うが。

いちおうゲームは今でもあるのだが、あいにくプレステ2本体とメモカが手元にないのでクリアーデータが証明できない。10年以上前のセーブデータが無事現存しているかどうか疑わしいが。ちなみにソフトは新品290円で買った。やはりワンコイン勢である。

余談だが、当時は「RPGの世界を旅しよう!キャンペーン」という大変夢のある海外旅行企画があった。本作もその対象作品のひとつ。
しかし当時の時世を踏まえて中止になってしまった。英断ではあるし、旅行券などが代替賞品になったのはいいのだが、やはり戦争はゲームの中で楽しんでいただきたいものである。

◆命を削るゲームシステム

このゲームは「Dカウンター」というリミッターゲージが設けられている。これはドラゴンの力を手にした主人公に課せられたゲージで0%からはじまり、100%になったら強制ゲームオーバーにしてこの周回で詰まざるをえない。なんらかの措置で減らすことは一切できない。

常に緊張感を煽らせてくれる唯一無二の神システムだと思う。
通常移動時でも戦闘中ターン経過でもゲージが地道に上昇するので、チンタラ寄り道している余裕がない。それだけなら大丈夫なように見えるが、このゲームは「D-ダイブ」という公式チートがあり、これを駆使しないとクリアーするのはかなり厳しい。いや本当にきびしい。(理由は後述)

初期の『バイオハザード』よろしくセーブ回数が有限だったり、アイテム所持数も有限だったりと、本作は敢えてきびしい仕様になっている。全く以て万人向けではない。途中で投げ出す人がいても全然おかしくない。前作までがオーソドックスなRPGだっただけにかなり尖っている。ぼくは名作だと踏まえているが、ワゴン行きなのも納得しかない。

いちおう万一100%になって詰んだときの救済措置として「SOL(シナリオオーバーレイ)システム」という実質強くてニューゲームがある。
最初からやり直しなのでサクサク進めたい方には好まない。2周目以降解禁されるイベントもあるが、それを有難く見たいほど本作に沼っているかと言われると…断言し難い。現にぼくも最初から肯寄りではなかったから。

まあそれでも引継ぎできることからここまでのプレイは決して無駄ではない、きびしさと隣り合わせな優しさは好感触だ。アクションではなくRPGではあるが(「PET」というアクションっぽいシステムもあるが今回割愛)、死んで慣れて覚えるタイプのゲームである。
ゲームオーバー時だけでなく、「ギブアップ」としていつでも最初からやり直せるのも配慮が届いている。

◆鬼つええD-ダイブと鬼つええ敵ども

上述した「D-ダイブ」とはブレスシリーズ恒例の竜変身である。どちらかというと過去シリーズとは異なり半身半竜だが。

この「D-ダイブ」だが、マジで強い。6桁ダメージ出せるほど強い。痛快なはずなのにドンヒキするほど強い。

勿論その分対価がすごい。
D-ダイブに関するあらゆる行動でD-カウンターがみるみる上昇していくといっていい。上昇値については攻略情報なしで進めるならプレイヤーが手探りで判断するしかない。よって1周目は確実に初見殺しが約束される。

なので計画的に使っておくべき、普段のザコ戦ではもちろん使えるのを控えるべき、ボス戦はどうしてもってときだけ…と意識したいのだが、中盤以降でのボス戦はD-ダイブを使わざるを得ない厳しい戦いが前提になっていく。
ボスにはある仕様が入っており、これはD-ダイブを使わないと勝てない始末。逆に言えばD-ダイブ後攻撃バフをかけて殴れば倒せるのだが………

本作最大の醍醐味は強大な力で強敵を倒しても「果たして今の段階でクリアーできるのか?」という不安が勝ることである。

主人公一行の前に立ちはだかる敵組織は数名いるし、「地上まであとXYZkm」というクリアーの目安となるバロメータはあるにはある。だがそれがすべての情報だと鵜呑みにしてはいけないくらい最後まで気が緩まないゲームだ。
敵は強いが主人公も超強い。だが文字通り寿命を削って命賭けで挑まないと勝てないゲームバランスが最高だ。レアアイテムを惜しみなく使うのとはわけが違う。

ボスだけでなく道中強いザコがいて、なるべく闘いは避けたい…のも簡単にはできない。「D-ダッシュ」を駆使すればエンカウントを無視できる。勿論ゲージ上昇は避けられない。

◆レッツ背徳ゲームオーバー

単純に全滅ではなく、D-ゲージが100%になるとゲームオーバーになる本作。その際「終焉を迎える」という選択肢を選ぶと専用ムービーが流れる。

このムービーはあまりにも恐ろしい。
D-ゲージはいわばドラゴンの侵食率。これが100%になるのはもう嫌な予感しかしてこないが、その結果主人公リュウの肉体を引き裂くように竜が乗っ取ってしまう…

最初はD-ダイブの恐ろしい強さに面白がって悪ふざけで幾度も攻撃バフをかけまくり、オーバーキルを超えたオーバーキルなダメージを残して脳汁ブシャーした人は少なくないだろう。その後わざとゲームオーバーを迎えるとトラウマを植え付けられ、罪悪感が半端なくなっていいはずだ。
リュウの断末魔が悲壮感を煽り、ドラゴンの咆哮は本当に転生してしまった事実が押し寄せる。

個人的にはトラウマを乗り越えて新たな性癖を植え付けられたのだが。
ぼくは人間がその形を崩す背徳案件が大好きだ。要は狂気のマッドサイエンティストをはじめとする悪役がやべー薬をプスリしてバケモノになるような怖いもの見たさが好きだ。未プレイだが『パンドラの塔』のバッドエンドが特に救いようがなくて好きである。ぼくはハピエン至上主義なのに。

この完全ドラゴン化は恐ろしくもどことなく美しさがあった。
こんなことを書くと真っ当な『ドラクォ』ファンに怒られそうだが、リュウというひとつの生命が無に還すも、ドラゴンという新たな生命が誕生を迎えたのは美しいと思えてしまった。「GAME OVER」のロゴが本作のタイトルロゴ「DRAGON QUARTER」に沿ったデザインなのも美しさを助長しているのだと思う。

◆神としか言いようのないED

どこかで「できればエンディングを見てからクソゲーと言ってくれ」という言葉を見かけた。途中で投げてクソゲー判定するのは如何わしいと思うクチだが、この言葉にはぼくも同意見である。
何故ならラストバトルを含めたEDが一番最高に盛り上がるゲームだからだ。

ネタバレは控えるが、エンディングで描写されるCGアニメーションはとても2002年のゲームとは思えない美しさで感動を助長させてくれる。これは未プレイの方は切り抜き箇所だけ閲覧せず、自分の手で地上まで向かって確かみていただきたい。
ちなみにCGアニメーションを担当するのは後に『ポプテピピック』『ジョジョの奇妙な冒険(アニメ/1~3部OPのみ)』を手掛けた神風動画である。本作発売の翌年に会社設営なので当時は個人事業なのだが、この時点でハイクオリティな映像を提供できたのはスゴイ。

◆で、なんでこんな記事をいまさら書いたの?

『溶鉄のマルフーシャ』の開発者が一番好きなゲームだからだ!!

なお、作者が一番好きなゲームは「ブレスオブファイアV ドラゴンクォーター」。

作者のhinyari9氏は影響を受けた作品に『Papers,Please』『ドールズフロントライン』『ガンスリンガーガール』『ダンジョンメーカー』などを挙げている他、好きなゲームに『ブレス オブ ファイアV ドラゴンクォーター』を挙げている。 つまり本作の世界観はそういう事である。

いやそんな信憑性がアヤシイ非公式サイトを鵜吞みにするなよ、具体的なソースはどこだよ出せよと自分でも思うわけだが、ググっても出てこなかった(電撃オンラインのインタビューには明言されていない)のでどなたか知っている方は教えてください。
最近になってこの件を知り、おっ、じゃあせっかくだからぼくは『ドラクォ』のことを書くぜ!でこうなった。まあ他にもその気になれば語りたいゲームはあるにはあるが。

『溶鉄のマルフーシャ』は前々から地味に気になっていたゲームであり、「安価で買えるしいつかやってみよう」の「いつか」に全然到達していないのだが、こういうのはぼくには稀によくある。今年中にやれるかどうかは…ちょっときびしそうかな。
まあでも(ゲームジャンルやシステムは全然違うが)『ドラクォ』と似ているなら断然気になったわけだ。最近になってますますどんなものなのかやりたくなった。…なるべく近いうちにプレイしてみます。

あれ?『ドラクォ』の紹介記事だよなこれ?
まあいいや。せっかくだからカプコンはHDリマスターを出してください。あと『VI』も作ってください。『ラストランカー』の続編でもいいです。

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