いじめは凶器【小説】
学生の頃に、いじめられたりいじめをした事はあるだろうか?いじめられた人は名乗り出る人が多いだろう。しかし、いじめた人はいじめをしているの自覚が無い。だから、名乗り出ないと思う。いじめとは、どの世界でも起こり無くす事は不可能に近い。いじめに度合いは付けたくないが、大人のいじめは学生よりも陰湿である。このお話はいじめっ子に復讐したいと思う生徒と同僚の先生に復讐したいと思う先生の物語である。
弱井サイド
「おい、弱井!」
大きな声が廊下を響き渡った。いきなり声を掛けられて驚いた。同時にアイツだなと思った。後ろを振り向くとクラスのボスである平松が居た。顔を見ると気分が悪くなる。しつこい人だ。今日で何回目だろう。何なんだよと思いながら返事をした。
「なあ、金貸してくれよ」
手を出してきた。逆らうと怖いので、しぶしぶ財布から札を取り出して三千円貸した。平松は受け取るとニヤニヤ顔で教室に戻っていった。吐き気がしてきた。ニヤニヤ顔が不気味だ。呪われた絵みたい。あいつを殺したい思った。もう、我慢強い出来ない。その為に殺す計画を立てた。
計画の続きを考えながら、ぼっと考えて歩いていると先生とぶつかった。見上げてみると国語の皮井先生が居た。皮井先生は美人で、みんなから好かれているので先生が結婚すると聞いた時はショックだった。
「すみません」
と謝りすぐに去った。
皮井サイド
あの子、最近元気無いなと思いながら職員室に戻った。一番端の席に座るとデスクの上に社会のテストの解答用紙があった。前の席の体育教師・光田先生に
「これ、なんですか?」
と聞いたが、疲れのせいか目が半分閉じている。体育の授業で疲れているのだろう。少し目を開けて
「ああ、それは」
と言いかけた時に
「今日中に仕上げろよ」
と後ろから聞こえた。光田先生はいつの間にか職員室のドアを開けて場所を移そうとしていた。顔を見なくても分かる。というか、見たくない。社会の平戸先生だ。正直言って苦手な先生だ。教頭先生はチラッとこちらを見たが、何も言わなかった。殺したい。ただ、直感的そう思った。
弱井サイド
放課後、廊下を歩いている。ふと教室を見るとクラスメイトの平松と上野が話していた。ドアに耳を当てて聞いていると、
上野「平戸先公の調子はどうですか?」
平松「やつは、狂犬だ。生徒を殴っているらしい」
と聞こえてきた。平戸と平松は嫌いだ。どこか似ている。しかし、どうすれば殺せるだろうか?ふたりとも殺したいターゲットだ。その後ろには大人が必要だ。
平戸サイド
平戸は仕事が終わると学校の近くの月極駐車場に止めている愛車のベンツに乗り、ある場所に向かって車を走らせた。
ー俺は命を狙われているー
心の中では生徒に嫌われているのを知っている。俺を殺そうとしている人もいるらしい。助けを求めるために光田先生の住むマンションに向った。深夜十時、空は真っ暗で星だけが輝いている。車から降り、マンションの二階に上がり一番端の部屋、光田と表札が掛かっているドアを叩く。
「光田先生、開けて下さい!平戸です」
返事は無かった。部屋の明かりが付いていない。居ないのかな?と思ったが、換気扇は動いていた。結局、どこにあたっても味方してくれる人は居なかった。自業自得と言えば、そうなのだろう。
弱井サイド
クラスの皆は、来年のクラス替えの時に平戸先生や平松と同じにならないように近くの神社に御参りして来たと言っている。この学校では名前に平が付く人が嫌われている傾向がある。平戸先生を始め、三年のボス、平目、二年のボス、平松など。三平と言われて嫌われている。計画には情報が必要だ。情報を手に入れるために
「お前の親父何してるんだ?」
と上野に聞いた。上野は急に話を振られたせいか、驚いて
「えっ、あ、警察・・・」
その時、チャイムが鳴って皮井先生が入って来た。授業が終わり、先生が廊下に来てと言った。弱井は指定された廊下に向った。呼ばれた場所で先生と平戸先生の話をすると意見が一致した。どちらも殺意があることを。皮井先生はいじめはどこの世界にもあると言った。大人のいじめは陰湿で根深い所がある。
大人という壁は果てしなく続く。一つ一つが重圧。人間は大人になっても子供と同じ。いじめは無くならない。いや、むしろ増える気がする。どんな世界でもクズは存在する。
「その話、俺も参加するよ」
と平松が入って来た。最初は戸惑ったが、ボディガードとして使えると思い参加を許可した。そして、三人で作戦会議をした。もちろん、平戸を殺すための会議。僕は平松も殺したいが、ここで言う訳がない。これが結構面白くて放課後まで続いた。
平戸サイド
「今夜、飲みに行かないか?」
グラスを持つジェスチャーをする教頭に飲みに誘われた時に、嫌われているはずなのに何故誘うのだろうと思った。嫌な予感がした。一応、上司なので社交辞令として「はい」と答えた。というか、答えるしかなかった。
いつの時代でも、新宿は人が多い。みんなが敵に見える。俺を狙っている敵。沢山の人に一斉に見られている気がする。赤提灯に焼き鳥と書かれた店に入った。二人で酒を飲んでいる時に教頭が、
「新学期から別の学校で頑張って欲しい」
と言った。酒に酔っていたが、その時はハッキリと聞こえた。いわゆる左遷だ。何も言わずに店を出た。教頭と別れて、駅に向かおうとしたら、四人くらいの人影が現れて、暗闇に連れて行かれて、急に殴られた。次第に意識が遠のいていった。気が付くと病院のベットで寝ていた。横には警視庁から来た上野刑事と水島刑事が居た。うち学校の生徒の父親でもある上野刑事に事情聴取され、昨日あったことを覚えている範囲で話した。
「犯人は分かりますか?」
と聞いたが、刑事は何も言わなかった。
教頭サイド
ある古びたビルの一室
「教頭も悪ですな」
変な関西弁で話している。下っ端の癖に偉そうだ。私を誰だと思っている。教頭だぞ。茶封筒に入った報酬を渡すと機嫌良くなった。鼻歌を歌いながら札を数えだした。携帯電話を取り出して皮井に電話をした。
「あいつは生きている。トドメだ」
生きているのは想定外だった。なかなかしぶとい。殺すまでしろと言ったが、理性が働いたのだろう。かと言ってナイフはまずい。どうせもうすぐ死ぬ。今日は酒で祝だ。学校に戻ろう。そう思って事務所を出ようとすると
「どうしてこんなことするんですか?」
と言われた。仮にも教頭という立場の人間が人殺しを依頼するのが腑に落ちないのは分かる。しかし、理由なんて赤の他人に教える程でもない。
「クズは社会から抹殺すべき」
そう言い残して事務所を出た。私はあなたもそうですよと言おうとしたが辞めた。
皮井サイド
午後一時になった。昼休みの時間。電話を受けた。職員室を出て病院に向った。そこまで歩いて五分も掛からない近場。平日の昼頃なので、病院はガラガラだった。病室のドアを開けた。ぐっすりと寝ている。これで最後。点滴の袋に消毒液を入れた。足早に病院を出た。学校に帰ると同時に病院から電話が来た。平戸先生の様態が急変した。そしてまもなく彼は息を引き取った。その報告を聞くと思わず笑みが溢れた。
光田サイド
今日も仕事が終わった。体育の授業は暑い空の中で教えるのは疲れる。アパートの端の部屋に住んでいる。家に帰るやいなや、テレビを付けた。ただ、ぼっーとニュースを見ていると自身の学校の生徒が亡くなったらしい。名前は平松、そして平目。教頭先生も同じ場所で死んだらしい。全員事故死だそうだ。平目は私が担任をしているクラスメイトの一人だ。問題児が一人消えた。社会から抹殺されて良かった。
心の中ではそう思った。
〜作者からのメッセージ〜
冒頭でも説明した通り、いじめはどの世界でも起こるものだ。この小説では大人の世界と子供の世界を書いた。弱い者が強い者を嫌がり、それがやがて凶器になる。弱肉強食の世界が逆転するとどうなるのか?考えただけでも恐ろしい。作中の中でクズは社会から抹殺されたら・・・とある。それで良いのだろうか?そしたら終わりだろうか?どんなクズでも殺してはいけない。でも心の中で少なからず、そう思う人もいると思って書いた。作者の考えではありません。あくまでも物語として捉えて下さい。お願いします。この話はフィクションだが、こんなことが起こるかもしれない。これは私の予想である。