結婚式の後で【小説】

結婚式。それは幸せの始まり。愛すべき人に会って初めての共同行事。そんな幸せが続くと思っていたが・・・

朝がきた。今日も変わらない一日が始まる。
目覚ましの音が気持ちを憂鬱にさせる。

新婚の夫婦だが、最近になって喧嘩することが増えた。本当は旦那のことを愛しているのに。バカみたい。喧嘩するほど仲がいいとはこのことだろうか。

そんなことを考えていると昔の記憶が脳裏に浮かんだ。

初めて彼と会ったのは高校の時だった。特に何も特徴がない彼だが、私は彼から告白されて付き合うようになった。好きになった理由は「興味本位」らしい。私は疑問を感じたが試しに付き合ってみた。

そしたら、どんどん彼の事を好きになった。大学に入っても付き合っていた。もう、このときから夫婦みたいだった。

卒業してから結婚した。ごく、最近のことである。私の友人からは辞めといた方がいいと助言を頂いた。最初は冗談だと思ったが、問いたださなかった。結婚式は貯金から切り崩した。大変な出費である。

ケーキ入刀の感触は妙に興奮する。この感覚は誰にも分からないだろう、分かって欲しくない気もする。

結婚式の後で、その助言は本当になった。結婚してから彼の性格は変った。怒りに任せて論理的にキレる、典型的なDVだ。悲しい気持ちと好きが混じり合う。

「信じるって何だろう?」と思う。

我慢の限界だった。

そう考えている内に現実に戻ってしまった。このまま記憶の中で生きていきたい。現実的に考えれば無理だな。

私の次に起きた旦那は機嫌が悪かった。いつも同じ光景なので慣れた。旦那は起きた大一声はこうだった。

「殺人鬼だろ。お前。」

何を急に言うのだ。私は言葉に戸惑った。返す言葉が見当たらない。

なぜなら彼の言葉は事実だから。

彼は私が殺人鬼だと知っていた。付き合う前から気づいていたんだ。

自分の脳裏に当時の記憶がフラッシュバックした。

高校の時に、同級生を殺した現場を見ていたらしい。不覚だった。このまま迷宮入りだと思ったのに。

付き合う理由の「興味本位」ってこのことだったのか。彼は彼で変な感覚を持っているらしい。私は台所からナイフを取り出した。昔を思い出させる。あの感触をもう一度だけ。

彼は逃げた。なぜ逃げるの?教えて。分からない、分かりたくない。私は手からナイフを落とした。大量の汗が出てきた。

彼は警察に通報したらしい。廊下に立ちすくむ私は捕まった。愛すべき人に裏切られた。いや、私が裏切ったのか。真相は果てしない闇の中に閉まっておこう。そう私は塀の中で悟った。

〜作者からのメッセージ〜

サイコパスな事件だった。この話はフィクションです。寝不足で書いたので、訳の分からない小説になっています。サイコパス心理は時に面白くさせる。スパイスが効いた小説を楽しんでもらいありがとうございます。

植田晴人
自称エッセイスト。小説を書くのにハマっています。書いた小説は15作以上。