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暇を持て余した京職人の、ジーパンをカッコよくする遊び

こんな案内が届きました。

事件です。いつもお世話になっている京都の染め職人・西田さん(御年73歳)の仕事が、コロナでゼロになりました。こんなことは、およそ半世紀の職人歴で初めてらしいです。

そんな中、なぜか「暇やから一緒に遊ぼう」と誘われました。「何して遊びますか」と聞くと、「こないだのルイ・ヴィトンのパリコレのやつ(サムネイル写真参照)、ジーパンにやったろか思てんねんけど、一緒にやるか?」と言われました。
というわけで、暇を持て余した西田さんと「ジーパンをカッコよくする遊び」をすることになりました。染めるのに3日かかるので、できあがりは1週間くらいかかりますが、カッコいいジーパンが欲しい人がいれば一緒にやりましょう。当日は来れないけど欲しいっていう人がいたら連絡ください。  

企画した株式会社AFURIKA DOGSは、アフリカトーゴで織られた布と京都の職人の技術を繋ぎ、手仕事でつくり上げた商品を扱うアパレル会社で、代表の中須さんは元信金マン。

中須さんが、なぜ信金を辞めて、この会社を興したか。

それは
「皆が笑顔で過ごせる世界をつくろう」
というトーゴ人の友達マックスとの約束を実現するため。

(詳細は、中須さんのヴィジョンを描いたグラフィック参照)


「なんだ、夢みたいなこといって」と言いたくなる人もいるかもしれないけれど、彼に会えば、本当にそんな世界を作りたいと思っていることが分かるはずで、実際にアパレルという仕事を通じて、人と人を繋ぎ、たくさんのサポーターを巻き込みながら、笑顔を増やしていっています。

たとえば、就活に思い悩み、中須さんと一緒にトーゴを旅した大学生は、トーゴで価値観がひっくり返り、カッコいい仕事がしたいと西田さんに弟子入りし、途切れかけていた伝統を引き継いでいくことになったそうです。

職人の西田さんが、初めて「おおきに」と言ったらしい。

「おおきに。」

寡黙な職人の「おおきに」という一言の重み。

服をつくる。その過程に、笑顔や未来に繋がる価値を生むことができる。
アパレルってそんなことができるのか。


今回の企画は、工房の空気を感じ、自分の目で見て、作業の一端に触れることで、
「染色のカッコよさ」はもちろん、伝統を守り続けてきた歴史や引き継がれてきた技術の貴重さを感じさせるものでした。

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印象的だったのは、参加者が塗る刷毛と職人さんが塗る刷毛の、音の違い。
やさしく、丁寧で、均一で、迷いがない。
西田さんが、刷毛とのりを通じて、生地に、実直な伝統の歴史を載せているようでした。

綺麗な伝統工芸体験館でかわいい小物をつくってみてもわからない。
「大事な伝統を守ろう」と、いくら言葉で伝えても伝わらない。

でも、現場を訪ね、実際に触れることで、自分の深いところに、じんわり染みるように理解できる。自然に価値観もかわっていく。
中須さんがしたいことってそういうことなんだろう。

仕上がったジーパンはこちら。

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カッコいい。
間違いなく、世界に1本しかないジーパンです。

7月の企画はもう定員いっぱいになったようですが、8月はまだ空きがあるそうですよ。

伝統技術を纏う、世界に1着の洋服を作りたい方は早めにお問合せを。
日時 8月16日10:00~

ろうけつ染めの過程はこんな感じです。
工程の予習にどうぞ。

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さいごに。
この写真。

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左が手作業で固い生地を丸めひびを入れたもの。右上の単調な生地は、その作業を簡略化するために、メーカーが持ち込んだ機械で丸めたもの。

手作業の生地に、職人の手が作り出す繊細さと、生命力のような強さを感じます。


そういえば中須さん、なんと本を出しました。

Amazonに、アナログ的イノベーションというレビューがあり、まさに、と頷いてしまいました。

ミシェル・オバマと小池百合子さんの間に挟まれる中須俊治。

「皆が笑って過ごせる世界をつくりたい」という思いが、何がどうなってこうなって、彼は突っ走っているのか。

面白いのでぜひ手に取ってみてくださいね。

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