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#092 「ゾディアック」

マスコミ宛に暗号を送りつけてくる、実際にあった連続殺人事件のお話。
監督は、デヴィッド・フィンチャー(2007年)。
事件の真相に向かって一直線な映画はそもそも好きなので、どうせ好きだろうなと思って観たら、やっぱり好きだった。マーク・ラファロが出てくるとは思わなかった。

殺人シーンは薄目で観つつ、誰が犯人なんだろうと思って観てはいるんだけれど、だんだん事件を追いかける側の狂気みたいなところに踏み込んでいく。
余りに長い時間をかけ過ぎると、人間は執着し始めて、目的が何なのか分からなくなる。もう何でも良いから答えが欲しい。というのは、人間の性質なんだろうな。
担当刑事も記者も疲弊してログアウトして行くんだけど、外野だったはずのジェイク・ギレンホールが持ち前のサイコパス感でぐいぐい入ってきて、大変良かった。あの瞳孔開いていく感じ、ジェイク味が凄い。ナイトクローラー(#028)を思い出した。

物語は後からなら何とでも言えるけれど、先がどうなっているのか分からないままに、どこまで踏み込むべきかなんて決められない。決められないままに連れて行かれて長い時間を過ごしてしまうと、それが自分の人生そのものみたいになる。呪われて、一体化してしまう。
それで良いのかも知れないけれど。

フィンチャーの画はやっぱり好きで、最新作「ザ・キラー」(めっちゃ面白かった)と、私の中で殿堂入りしている「ドラゴン・タトゥーの女」(#022)で、フィンチャー3本立てしてしまった。