015ぐるりのこと

#015「ぐるりのこと」

人には波があって、浮いたり沈んだりしながら泳いだり流されたりしていて、浮いている時が良いわけでも、流されていることが悪いわけでもなくて、季節みたいなもので、巡っているに過ぎない。でも、本人にしてみればその落差が辛い。ということはあるなぁと思う。
それに加えて、誰かと一緒に居るということはその季節が重なり合って、なんだか果てしなく長い冬。みたいなことにもなったりして、どうしようもない。
人と人も季節みたいなもので、ぐるぐる巡ってだんだん変わったり、離れて行く様に見えてまた近付いたり、悪くなっているように思えた関係が修復したりする。刻々と変わって、人も、関係もひと処には居られない。

この映画では人物の描き方が平等で、みんなそうやって自分と周りの状態に振り回されて生きていて、へらへらして見える人にも勿論そうでない内部があったり、大丈夫そうに見える人が危ういものの上でバランス取っていたりする。それぞれ、胸に迫るシーンが幾つもあった。
その時に助けられなくても、少しずつでも寄り添っていたらまた別の季節が来て、桜が綺麗だね。みたいなことが一緒に生きるってことだよね。とか思った。そして、寄り添え合える人生って素敵だし、羨ましい。

例えば、すごーく駄目な時、もうこのままずっと駄目なまま、むしろどんどん悪くなっていくし、このまま氷河期突入する。絶対凍る。と思っている時に、いや、別にそのうちまた出来る様になるでしょ。今はそんな調子なんだから(厄介だけど)仕方がないよ。という視線は、その時の当事者にとって心地良いものではないかも知れないけれど、もの凄い信頼だし、それこそが愛だと思う。
※こういう映画を観ると、自分が誰とも寄り添えていないのは、自分に何か問題があるからだろうか。という自虐的な気分になったりするので困る。

そして、Akeboshiの音楽が素晴らしい。
橋口監督の「恋人たち」は、観に行けるタイミングで自分のコンディションが悪過ぎて見送ってしまった。絶対観たいと思っているんだけど。