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#085 「ノマドランド」

人生は滑らかに繋がって明確な区切りなんてそんなに無いのだけれど、時間は一定の速度で進むし、人は日毎に老いる。
この映画を見ている時に、私の人生のある時期は終わったんだな。と、はっきりと認めた瞬間があった。
最近、この感じは終わりで良いんじゃないかなと思うことが多くて、でも何が上手くいかないわけでもないし、昨日と今日の違いも特になくて良くわからない侭にぼんやり放置していた。
既に終わったのだ。ということがすっきりと理解できただけでも、観て良かった。

それにしても、劇場で観たかったなやっぱり。
どこぞの文芸坐などで上映の機会があれば、是非足を運びたい。
作品の中で描かれる高齢ワークキャンパーの生活は、映画の様に気ままで穏やかなもののはずは無いんだけれど、それでも良い瞬間は沢山あって、そういう瞬間はオフィスワーカーの生活の中にはなかなか訪れないものなので、少し憧れる様な面がある。だから映画を観るんだけど。

主人公が、親切な友人や家族に一緒に暮らしましょうと誘われても、どうしても車上生活に戻ってしまう感じが、すごく上手く描かれていた。
超分かる。
決して寒くて危険なところで暮らしたいわけじゃないんだけれど、凄く暖かで賑やかで安心で幸せな場所に、誰もが居続けられるわけでは無い。
悲しいけれど、人それぞれ性分があって、適温が違うのだ。

これから先のそんなに短くは無い日々を、自分自身が一体どういうものとするのか、知りたいなと思った。少し時間をかけて探してみたい。