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#039「スカイライト」

ナショナル・シアター・ライヴ観てきました。
つぶまるさんのレビューを読んで、その存在自体を初めて知って、こんなものがあるなんて!と慌てて調べて慌てて行ってきた。※本当にありがとうございます。

二人芝居で、ひたすら会話劇。
かつての恋人と再会して、心を通わせようとするんだけれど、一度は終わっているし、良い別れ方でも無かったし、そもそも不倫だったし。で、基本的にはずっと言い争っている2時間42分。
価値感が合わなくて、でも愛していて、でも分かって欲しくて、でも全然届かなくて、お互いがお互いの好きなところと嫌いなところを分かりすぎていて、そこを剥き出しにして、凄く辛かった。
そして、もう何のお導きかと思うくらい、今の私に刺さり過ぎるやりとりで、狼狽して朦朧として、ぐわんぐわん言っている。

彼女は、自己犠牲みたいな生き方をしていて、でも本人はそれに意味があると思っているし、やりがいも幸せも感じているのだけれど、彼はそれを、「幸せになろうとしていない」としか解釈してくれない。才能も能力もあるのに、どうしてそれを正しく使おうとしていないんだ?と、苛立つ。
彼女は、彼のそういうところを、何て傲慢な考え方か。と思う。
そのどちらも分かる気がして辛い。そこをぶつけたら駄目だよーというところをこれ見よがしに斬り合う。痛いよ。

そして、二人の過去。
彼女は、彼の家族と仲良く深く付き合いながらも彼と不倫をしていて、彼の妻にばれて、突然黙って姿を消した。
そのことについて彼は、「君はあの時、僕と僕の家族を見捨てた」と、感情的に責める。
彼女は、「あなたの家族が好きだった。一緒に過ごしていた時間が一番幸せだった。それを壊したのはあなた自身」「黙って立ち去るのだって本当に苦しかった」と宣う。
客観的にこの二人は身勝手で相当ずれているんだけれど、二人の間に起こったことは、そういうことだったし、二人の間での言い争い(しかも済んだこと)なので、こうなる。
何と言うか、人との関係って清算出来ないんだ。と、思った。別れたら綺麗さっぱり新しい幸せに向かえる訳ではない。10代の恋ではないので。
そして、人と一緒に居るということは、こういう壮絶に消耗する議論があっても良いんだ。と、ほっとしたり、同時に不安になったりした。大人になっても、こんなに傷つけ合わないといけないの?とか。

キャリー・マリガンが好きだったのも観に行った理由。観られて良かった。
ひたすら膨大な台詞を激しくやりとりするのに、感情がそう言わせている様にしか見えないのが凄い。俳優って凄い。
ビル・ナイの、全てを持っているのに全然満たされて居ない中年感。むしろ初老感。


はぁ。生きるって大変。じゃあ、どうすれば良いのよ。。となる。