042トゥモローワールド

#042「トゥモロー・ワールド」

子どもが生まれなくなってしまった西暦2027年の世界の話。
貧困や紛争が激化していて、移民が徹底的に排除される世紀末な世界で、奇跡的に妊娠をしている女性の移民に出会い、彼女を逃がす為に奮闘する話。

どこかで、それが自分じゃなくて良かった。と思ってしまって、見ない様にしている状況があって、でもどうすれば良いのだろう。移民の問題とか、貧困や飢餓の問題とか、宗教や有色人種の差別の問題とか、テロとか。もっと近くのことで考えれば、震災のこととか。ホームレスの人とか。

今も苦しんでいる人が居るから、同じ様に苦しめば良いのだろうか。毎日お風呂に入れず、食べるものにも困って、毛布を使わずに堅い床で眠れば良いのだろうか。でもきっと、そういった物理的な困難の話ではないんだろうなと思った。誤解が解けないこと。自分の事情を考慮してもらえないこと。一人一人の出来事ではなくて、一括りの出来事にされること。そういう扱いに理不尽な思いが積み重なっていってしまうことがきっと、苦しい。
でも、だからさ、どうしたら良いのだろう。

自分勝手なことを言うと、私はそういう意味で、理解されることを放棄している。それでチャラになるとは思っていないけれど、何と言うか、一括りに一般的に幸せそうなことに、凄く抵抗感があるのだな。ということに、少し気付いた。でも、これも違うよな。

映画は、妊婦を助ける為に手を差し伸べた人は、洩れなくその途中で唐突に死んでいくけれど、でも、なんかそういうことかな。とも思った。
明日のことは誰にも分からない。
世俗から離れ、自分の楽園に引き籠もっているマイケル・ケインが素晴らしい。それから、戦場と化したエリアの一室に暮らすマダムみたいな人。彼らはユーモラスで明るい雰囲気を纏っていて、救いだ。

どんな状況でも、別の物語を語れたり、全然違う視線を持ったり出来ることが救いなのかなと思うし、そういう人だけは、常に誰かの一瞬を救える。
そういうおばあさんになりたいなぁ。