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#025「プレイタイム」

1967年のフランス映画。
とにかく作り込みが凄くて、全てのシーンが贅沢。

ジャック・タチは、私財を投げ打ってパリに高層ビル群を建設し、345日間も撮影したらしい。その後興行的には大失敗して、破産寸前になる。
細かい仕掛けや楽しさが詰まっていて、60年代が夢見た近代の生活が、滑稽で可愛くて、意味不明で、凄く変な映画。最高に楽しい。
変な音が出る機械とか、長い廊下とか、ガラス張りの謎の空間とか、不思議な展示会とか。工事が終わっていないレストランとか、踊り狂う店内とか。ガラスに映るエッフェル塔。
遠くの人物が、ちょいちょい書き割りなのとか、あー、面白い。
全体はミニマムなコメディーで、パントマイム的で、音楽も楽しくて、とても狂騒的。
映画が終わった後、お祭り騒ぎの後みたいな、さみしくてちょっと気まずい。みたいな気分になる。

いつの時代も、近未来をイメージすると色がグレーになるのは何でかな。
金属的なことなのだろうか。
未来がデジタルな世界をイメージする前の時代なので、良いなーと思う。アナログな妄想や想像は、それだけで楽しい。
ここまでの世界を作ろうとする妄想力と、執着心は、もはや狂気。
でも、コンピュータの無い時代に、何もかもを現実で作らなくてはいけなかった。から、こういうおかしな映画が出来たんだろうと思う。
これから先、未来永劫こんな映画は絶対に作られない。
薄くて小さくて平べったいものの中で、何もかもが出来てしまうなんて、本当はつまらない。