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#065「The OA」

Netflixオリジナル作品。
私が大好きなブリット・マーリングの新作はNetflixということで、もう契約でも何でもしましょう!!という気持ちで、1ヶ月間の無料お試しで(!)観た。

彼女の魅力である、不思議で緻密で複雑な世界設定が、これでもかと詰め込まれていて、映画よりも長尺なので、その辺の風呂敷の広げ方が3倍。否、風呂敷は3×3だから面積比は9倍か。そんなの尺がどれだけあっても畳めないよ?!という感じ。
でも、彼女の作品についてはそんなことはどうでも良い。それは彼女の圧倒的世界にどうやって落ちて行くか。の装置でしかないので、物語の整合性や理論的な穴などについて言及するなんて野暮。
世界は見渡せないし、登場人物全ての行動の理由を知る意味なんて無い。

主人公とその仲間はある研究者に研究対象として監禁されていて、逃げ出す手段が無い。それは絶望的な状況なのだけれど、彼らは何年もかけて研究内容を探ろうとし、逃げ出そうとしている。
ということを、主人公が屋根裏部屋で少年たちに話して聞かせている話。

作品の中で、宇宙とか時空とか多次元的な世界にアクセスして、何かを思い出す。みたいなことが行われるんだけれど、それが凄くフィジカルなものとして描かれていて、謎の説得力があった。
得たイメージを音とか身体の動きとして思い出す。というシーンがなんというか、寝起きにうっすら遠のいて行く夢を思い出そうとするみたいな感じで、もう少しで分かりそう。という感じ。

そういう感覚を共有するって、それはもはや新興宗教なんだけど、だけど、確かにあるよなぁという危うい気持ち。
今、目の前にあるものを、どれだけ信じられるだろうか。
もう何の手立てもない様な絶望的な状況で、自分の持っている力を信じることや、一緒に居る仲間を信じることだけが、状況を打開していくのだと思う。それがどんなに荒唐無稽であっても。
順番に並べて整理すると、おかしなところがあったり、辻褄が合わなかったりして、疑ったり、騙されていたのかとがっかりしたりすることもあるけれど、それだって、誰かが欺く為に用意した理屈なのかも知れない。
だからこそ、身体で丸ごと思い出す様な感覚のものは、信じられるのかも。だから危ないんだけど。

何だか分からないけれど、圧倒的に凄い。を、見せられると、ぐわーっと動かされてしまう。そういう時の映像や音楽の作り方は本当に上手で、この人は、映像や物語を作っているのではなくて、やっぱり何かイメージを引きずり出して映像作品にしたものなんだろうな。とか思う。

Netflixは全8話で、割とさっくり観られる。姑息に無料お試しで観たりして、シーズン2の制作が発表になったりした。
当然、風呂敷は美しく盛大に広げられたまま敷きっぱなしなんだけれど、その曼荼羅を見ながらシーズン2の公開を待ち望んで居るところ。