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#087 パリ・オペラ座バレエ・シネマ 「プレイ」

コンテンポラリーダンスが好き。
「分からなさ」を浴びることでしか到達出来ない、取り出す前の純粋な思考の様なものがある様に思う。映画や演劇でも、そういう瞬間が訪れることがある。

本作は、2017年12月にパリ・オペラ座で上演された演目を映画館で観られる。というなんとも贅沢なプログラム。
ナショナル・シアター・ライブのバレエ版みたいな感じです。
上映館数も回数も凄く限られているのだけれど、本当に観に行けて良かった。

音楽も舞台装置も照明も演出も、緻密でユニークで、味わったことのない感情にぐいぐい連れて行ってくれた。なんだか分からないけれど、美しくて3回くらい泣いた。隣の女子も泣いていたけれど、全然違うタイミングなのが面白かった。終わった後、お茶にお誘いしたかった(不審者)。

映画でも音楽でも小説でも、分からなさの先で感動する時に、言葉や論理では説明しきれない何かにアクセスしている感覚があって、だからこそ、記述できる限りの言葉を尽くす必要があるのだと思う。
捩じ切れるほどの思考と論理の先で、もうこれ以上言語化出来ない状態になって尚、そこに圧倒的な領域が残されていて、表現というのはそこに挑むことなのかな。と、思った。

身体も音も光も空間も、プロフェッショナルが様々なアプローチで表現に到達して、ぶつかった先の分からなさの断片を見せてくれるって凄いことよ。

演目の中身については好きな瞬間があり過ぎて、書き出せない。
現場で演奏されている音楽が素晴らしかったなぁ。あんな音でどうやってカウントして踊るんだろう。ダンサーってどうなっているんだろう。
色彩設計が素晴らしくて、それから衣装!衣装が良かったのですよ。
DVDがあることが分かったので、是非とも買いたい。