037リップヴァンリンクルの花嫁

#037「リップヴァンウィンクルの花嫁」

「結婚」て、なんだろう。

誰かを好きになってある程度適齢期まで一緒に居て、色々あったけれど自分にはこの人なんだろうなぁと思って、けじめをつけるでも、なんとなくでも、愛を誓って。でも、理由は色々あるけれど気がついたら、していたもの。

というやつじゃなくて、明確に決めたわけではないけれど、なんとなく出来ないままここまで来てしまったなー。という状況で目指すor 目指さない「結婚」は、結婚とは大きく異なる、なんとも言えないものという実感がある。
「結婚」はもはや結婚についての概念ではなく、一般的な視線から弾き出された後、現代社会をどう生きていったら良いか。の「困惑」を表している様に思う。

してもしなくても、したいと思っても思わなくても、何故?とか、自業自得とか、自分に何か問題が?という無数の疑問が自分にべったり貼り付いて剥がれない。
それを振り払う様に「結婚」をしてみたところで、それは結婚ではないから、もう困惑の中を彷徨い続ける。いや、恋愛結婚でも、それはそれで困惑なのかも知れないけれど。

映画は、その現代の「困惑」をそのまま映像化したものに見えた。
観て初めて、こういう作品て無かったんだな。と、思う。と言うか、この映画を観るまで、今までちゃんと気がつかなかったんだ。という感覚になった。
題材が現代的だとかリアルだとか、そういう次元では無くて、私たちは何を与えられても、何を掴んでも、もう駄目なのかも。という感じ。
平和ぼけだとか贅沢だとか、人と人の繋がりが希薄だとかそういうひとつひとつの事では無くて、もう、全てが変わってしまった後なのだ。

手に余る様な幸せを抱えながら、幸せを探して彷徨っているのだ。ゾンビみたいに。此処からどう生きたら良いのかな。と、息苦しい幸せの中でぼんやり途方に暮れる。