#090 「アメリカン・ユートピア」
近年、最も見逃したと思っていた作品のひとつ。
劇場で観るべき作品なのは分かっていて、いつか劇場で。と思っていたら、こんなに時間が経ってしまった。無限のインスピレーションが積み重なって、自由だった。社会や政治がちゃんと含まれた世界を自由に生きるというのは、それこそ楽園の定義かも知れん。
配信になってしまったけれど、2022年の最後に観ることが出来て本当に良かったな。繰り返し観て年が暮れて、2023年も何度も観ると思う。
先ず、元トーキング・ヘッズのデイヴィッド・バーンが、脳の模型持って歌い始めるとは何事か。あの、オープニングだけでも10回は観たし、まだ観足りない。
勿論、舞台は現場が一番だろうけれど、映像で観ることにもちゃんと意味があるカメラの置き所とカットが沢山あって、最高だった。
舞台系映画は何度か観てきたけれど、一番上手く行っているのでは。
舞台装置と照明が最高に格好良かった。
衣装も素敵だったなー。スーツについたセンサーを照明が追っていたんだろうなぁ。とか、演奏も演出も素晴らしいところは色々あるんだけど。まぁそんなことはどうでも良い。
情熱とは何か。情熱はどこへ向かうべきなのか。ということを繰り返し考えた。人って本当に拙い生き物で、ちょっと頑張っても、気がつくとすぐに思考が固定されるし、目的を見間違う。決めてしまえば、あとは走るだけって楽だからね。
本当はどこへだって行けるし、どこへでも行かなくてはいけない。どんなこともあり得るのだから、都度見て、考えるべきなのだ。自分の行動の正当性とか、組織の来年度の目標みたいなことじゃなくて、目の前に流れているエネルギーみたいなものを、都度観測していきたい。と、思う。
それから、言語表現が素晴らしかった。
こんなにも哲学的な内容を、平易な言葉で独自の表現に落とせるって本当に本当に凄いと思う。
まだまだやるべきことがあるよね。と、励まされたし、どんなことであっても、踊り明かす様にやっていきたい。