第九章 原子の火

 五人は目覚めた。そして身体の違和感に気づく。何かが、おかしい。ちぐはぐする身体に五人は戸惑った。
「――ひっ」
 ミクが喉を痙攣させたような声を出した。彼女は自分の腕を……腕が在ったはずの空間を見つめていた。
「なに、これ……」
 マーサは顔を手のひらでこわごわと触っていた。他の四人も、徐々に状況を掴んでいく。周りにあったはずの町が瓦礫と化し、生き物の気配を感じない。辛うじて生き残った五人も、肌がめくれたり四肢が肉片となり遠くに転がっていたりと、まさに生き地獄の火中にいた。
「なにが、起こったのでしょう」
 ゴルが回らない舌で言った。彼の舌は先端の三分の一程度が裂けていた。

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