レモン ‐17
時間は有限だから
やりたいことに対する時間が圧倒的に足りない気がしている。
1日が60時間くらいあればいいのにとも思う。
と同時に、自分の体力にも限界があることを知る。
何もかもが限られた財産と知ったとき、人は何ができるのか。
前にこの随筆で、物語というのは「人間」という未知の領域に近似曲線を描く行為であると述べた気がする。
宗教は、道徳や模範の最高モデルを神と呼び、それに近い教えを持ち、あるいは自らがそれに近づこうとする。
科学は、この世を支配する因果律を真理と呼び、それを解き明かそうとする。
人間の営みが近似曲線ということに集約されるなら、「対人関係・対世界の心の持ちよう」をカバーする宗教にも、「外の世界そのもの」をカバーする科学にもカバーできなかった、「人の内面」それ自体に物語は迫りうる精緻な近似なのではないか。
すべてを知り崇高な領域に辿りつくには、人間の一生はあまりに短く、できることも限られている。だからこそ、人はそれぞれの分野で身を削り近似項を増やし、それを後世に残し、太古より絶えぬ問いに答えようとするのだろう。
春瀬由衣
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