お酒、うちの場合は水だったり米だったり
この1週間はとくに大変だったから、お酒を仕入れて欲しいといえのヒトに頼まれており、行けばそこは試飲会場なのだった。
今週は、越の誉。
仕事の滞りもあるので、試飲無しで買おうかなと思ったけれど、テーブルに4本横並びで、カップもセットされて、わかりやすいウェルカムさはめずらしい。正面から、どうですか、と言われると、せっかくなのでと辛口をリクエストした。
飲んでみると、雨を吸い込むタイプのアスファルトみたいに、すっと消えていく。
もう少しお米の香りが欲しい気もしたけれど、あまりにもすっと消える感がおもしろく、また、「うちのは辛いッという辛さのない辛口です」という説明も、たしかにその通りでふしぎ、と思うなどして買っていくことにした。カラシのようにカツン、ツーン、ピリッと当たる感じはない。
「きけんなんです」
ああ、なるほど、気づかないうちに量を飲んでしまうのか。
辛口にするには、どうするのか聞いたところ、高めの温度での早い発酵らしい。麹と、水。
今日のはなしでは、麹と水の問題のようだ。
「うちの場合は、とくに水です」
自分の土地の水に特徴があると気づいて、おいしく飲めたら、しあわせだよなあ。
お値段は1100円で、先週、予算オーバーした分をカバーできた。帰ってから表示を見ると、原材料に醸造アルコールが記載されていた。これをよくないといって、「純米酒」にこだわる人もいる。わたしはそのあたりは体感としてわからない。ゆっくりと試しているさいちゅうだ。その場の状況でおいしく飲めればいいように思う。こだわりの強い人の本を読んで、かえって引いてしまったせいもあるかもしれない。
というわけで、越の誉では、「水です」というはなしが印象に残った。米です、というひともいれば、水です、という人もいる。わたしが1本持ってレジへ向かうと、すぐに別のひとが来て、試飲していた。