髭を舐める
朝起きて、コタツにイン。おもむろに猫がきて、わしとコタツの間、ちょうどみぞおちの真上に体を下ろした。すきっ腹に分厚い重みと生き物の温もり。背中から頭へ、味わうように毛並みを撫でる。受け入れて目を細めていた猫は、やがて半身を上げてわしのアゴの真下に小さな顔を寄せた。間もなくざら目の様な舌触り、唾液。アゴ髭を上下に上下に舐めている。何だか嬉しく、猫として認められた心持ちがする。賞味10秒くらいの髭づくろいを終えて、お腹の上で姿勢を回して、再び楕円になる。柔らかく撫でる。喉鳴らしが地の底から湧き上がるように、無限に重なっていく。