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松下楓歩欠場

肩の力が抜けた。

選手たちの離脱や休業の報を受けても、悲しいけれどすぐに前を向くことができた。何が起きてもアイスには楓歩さんがいる。彼女がいるから大丈夫。いつもはそんな安心感があった。しかし ―

先日、わしはあらゆる策で嫁さんを説得(?)してzfという数十万もするカメラを手に入れた。その目的はもっとよくプロレスの写真を撮るため。今まで使っていたGRⅢxは神カメラ。でもそのコンパクトボディに限界を感じ始めていた。写真なんてマイウェイ。独自のモノクロワールドで満足していたわしに湧き上がってきた謎の向上心。プロレスファンの方は強者揃いで、選手の良い表情や仕草、躍動感を捉えた素敵な写真をたくさん載せている。それに比べて、自分のショットは少し離れると静謐な描写から遠ざかる(画質が粗くなる)のが悔しい。わしはもっとできる。もっと撮れるんや。

そのカメラで楓歩さんがベルトを巻く姿を撮りたい。しかし怪我による長期欠場の報告。目的は遠ざかってしまった。

とても心配だし悲しい。彼女がいないアイスリボンを想像したことがないので実感がない。いぶきさん&楓歩さんが先導して、先輩たちが支えて、後輩たちが縦横無尽に駆け回る。そんな好循環が続いていくと思っていた矢先に先頭の両輪が抜けるとは。安泰と思うと何かが起こるアイスリボン。でも、かつての大量離脱のときのような悲壮感はない。今のアイスには何があっても何とかできるという自信と凄みがある。「いぶきと楓歩がいなくても」選手ひとりひとりが彼女たちを支えて、よりパワーアップしてやろうと息巻いている。

アイスの選手たちはファンの写真を大事にしていると感じられる。撮り手にとってこの上ないモチベーション。その最たる選手が楓歩さんだ。試合の楽しさはもちろん、カメラを向けたときの笑顔に撃たれて虜になったファンも多いと思う。彼女の「発信力お化け」発言がきっかけで、他の選手も積極的に発信をはじめたし、ちあふるな後輩も良い影響(指導?)を受けて会場に花を咲かせている。

怪我の一報を聞いたとき、わしは肩の力も魂も抜けた。リングで輝く楓歩さんの姿を撮りたくて、死の淵(嫁さんとの駆け引き)を乗り超えてやっと、カメラを購入できたのに。でも切り替えた。楓歩さんが戻ってきたら至上の写真が撮れるように練習して経験を積み重ねておきたい。

リングで『ハイッ、ハイッ』と手を叩いて盛り上げる姿、ミサイルキックの軌道、ファンファーレの弧線がもう待ち遠しい。順調に回復することを願って。また試合の写真にイイネをもらえる日を信じて。