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じゃじゃ馬トーナメント1(大会前)

ゆづきさんの前転を見て冷笑したことを今でも恥じている。

千春代表に促されて最初に前転を披露したときのこと。腰を落とした彼女は枯れ木のように震えながら、頭をリングにめり込ませて右斜め前方に崩れ落ちた。「運動神経もセンスもない」鼻白んだ自分に対して、代表とタニ―さんは真剣な目を向けていた。技量ではなくその魂を、意欲を探ろうと向き合い、心意気を褒めた。自分が不格好であることもわからないまま、優しい言葉で表情に花を咲かせるゆづきさん。もしため息をつかれていたらレスラーへの道は潰えていた。この時の小さな手応えが、とてつもなく低い位置からだけれども、芽が生まれた1歩であったように思う。

運動神経、体力、センス、プロレス脳、練習量、環境、指導力。ゆづきさんには不足している部分もある。だがしかし、何もできないところから積み重ねてきた彼女には彼女の立ち方がある。常に謙虚で、相手への敬意を持ち、徹底的に研究をして試合に望む姿勢はプロフェッショナル。

旗揚げの地、新木場1stRINGで。
期待の若手が揃う ”じゃじゃ馬トーナメント” に参戦するゆづきさん。

数か月前まで前転もできなかった彼女に何ができるのか。彼女らしいプロレスを観ることができたら嬉しい。そして試合後、どんな結果でも「よかった」と讃えたいと思う。


ちなみに、自分の優勝予想はYUNAさんです(え?)