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短編小説

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こんな恋も悪くない

こんな恋も悪くない

 赤坂にある議員会館で片山津の政策秘書である高柳の手伝いをしていた灰原は、ちらりと壁の時計に目を向けた。
 時刻は二十一時を少し過ぎている。
 片山津も今日は早めに帰宅しており、公設秘書の灰原も特にすることがない。国会答弁のための書類を整えていた高柳を手伝っていたが、それも思いのほか早く終わりそうだ。
「まだ時間があるな……」
 ぽつりと呟き灰原はスマートフォンを取り出した。
『二十二時には終わる

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一方通行の年賀状

一方通行の年賀状

 今年の盆休みは帰省することも出来ず、結局だらだらと自宅マンションで過ごすことになった。

 実家の母は今年は坊さんを呼ぶのはやめておこうかと言っていたが、毎年やっていることを今年はやらないのはどうも気持ちが悪いと、結局呼ぶことにしたらしい。

送っておいたお供えの菓子のお下がりが送り返されてきたのが今日の午後。宅配で届いた箱の中には菓子の他にビールと今更と思いたくなる年賀状が一枚入っていた。

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