2015年に2人目の子どもが生まれて当時の会社で初の男性育休を2か月取ったときの話。

時間がない人のためにこのnoteの結論。
当時男性で育休の取得はゼロだったけど認められなければ辞めるつもりで思い切って取得してみたら仕事の価値観が変わって、それはとても良いものでした
本文はおおよそ2,500文字です。

◆はじめに

私 「今日はきっちり定時で現場上がり。17時30分には事務所に戻れるな。よし!今日こそ言うぞ!」

事務所にて、課長&部長が何やら雑談している。

私 「あ、あのぉ。課長?」
課長「ちょっと後にしてくれる?」
私 「はい、わかりました。」
数十分後、私のことは忘れたかのように帰宅する課長&部長。
私 「はぁ、今日も言えなかった。仕方ない。手紙作戦で行くか。」

こうして私は2人目の子どもができたこと、出産予定日はいつであること、そして2か月の育休を取得させて欲しいことをその理由とともにA4コピー用紙の裏紙一枚にびっしりと手書きで書いて課長のデスクの上に置いて帰宅した。
その数カ月前、先輩がやはり育休をとろうか迷っており「うちは男で育休取った人いないしどうせ無理だ。」とあきらめていたのを知っていたので、もし仮に認められなかったとしたら会社を辞める覚悟だった。

◆育休をとった理由

当時(2015年)はイクメンという言葉が流行っており、男性も育児を!という声があちこちで聞こえ始めていました。時の政権も男性の育児休暇取得率を〇%に!と数字目標を掲げていました。
ちなみに私はイクメンと言われるのが嫌いで、イクメンですね!と言われるたびに「違います。ただの父です。」と返すめんどくさい人でした。

そのような世間の流れに乗って私も育休をとろうとしたのか?
違います。

ではなぜか?

そもそもの話で1人目の出産のときに異常がみられて緊急帝王切開となりました。
薄暗い病院の待合室でいきなり手術同意書にサインを求められて、震える手でサインをしたことを覚えています。
もちろん手術は無事に成功。元気な子どもが生まれたのですが、大変なのはその後でした。

当時よく「帝王切開ならお産は楽でいいね」と言われることがありました。ひょっとしたら出産自体はその通りなのかもしれません。私が体験したわけではないので実際のところは分かりません。
しかし出産に立ち会った身としては、出産時は部分麻酔のため意識がかろうじてあり、顔が真っ白になってぶるぶる震えながら「寒い、寒い」とつぶやくカミさんはとてもじゃないけど楽そうには見えませんでした。先生が赤子を取り上げて無事に生まれた姿を見せてから全身麻酔に切り替わり眠りにつきました。

しばらくの入院を経て退院するのですが、そこからが大変でした。
なにせ赤子を取り出せるほどにお腹切ってるわけですから、退院してしばらくもカミさんはまともに動けません。
*帝王切開の人に対して気軽に「お産が楽でいいね」というのはやめましょう。

1人目が産まれた当時は京都に生活基盤がありそこから転職に伴い(詳しくはこちら:転職をした方がいいのか?しない方がいいのか?迷っている人のための参考note)、千葉に移り住む過渡期のような時期でした。
カミさんと子どもはカミさんの実家のある京都に任せて私一人で千葉に来ていました。このときはカミさんの実家に頼ることができました。

一度帝王切開をすると次も帝王切開になります。というわけで2人目も帝王切開でした。
1人目の時と同じ様に術後はカミさんが動けなくなります。
そして2人目のときは千葉に生活基盤があり、実家に頼ることも難しい(というか別の事情もあり実質無理でした)。
となると誰が1人目(4歳)と生まれたての2人目、動けないカミさんの世話をするのか?

会社員として当時の私は紛れもなく部署のエースとして活躍していました。どこからどう見ても他に変えの無いように思える仕事ぶりです。
でもそれはそれ、実際はエースだろうが何だろうが、たった一人が2か月休んでも会社は回ります。回りました。

一方で、家庭での父親としての私は毎日帰りも遅く、土曜も出勤が多く、まれに日曜も出勤していきます。父親としては紛れもなくポンコツでした。どこからどう見ても役に立たない父親ぶりです。
でもだからと言ってこれこそ他に変えは無く、私が2か月の家事育児をやらなければ家庭は回りません。
どちらを選ぶかは考えるまでもありませんでした。

◆育休Before・After


「はじめに」にあるようにいざ手紙を書いてみると、部長が全面的に味方してくれました。総務相手に「男の育休の前例はないけれど必要なことなんだ!」と掛け合ってくれました。この件は本当に感謝しています。
部長!あのときはありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。そして、後に辞めてしまいごめんなさい。

育児休暇中は大変なことがたくさんありました。1か月半が過ぎたころから仕事に復帰する日が待ち遠しくなったくらいです。
大変なことはたくさんありましたが楽しいこともたくさんありました。こればっかりは経験してみないと分かりません。

個人的に嬉しかったのは職場に復帰してからすぐに知ったのですが、私が育休を取得したすぐ後にもう一人、別の地域の男性がや1か月程度の育休を取られたということです。前例ありということですぐに認められた、というか認めなければ不公平だ!となるのは明白です。
会社としては私が取得する前は男が育休取るなんてありえない!と露骨に言う事はなくとも実質そのような雰囲気があったのは否めません。
しかし第一号が出てさらに第二号が出たことでその雰囲気が少しでも変わったことが分かり嬉しかったです。

さて私個人としての変化ですが、働き方を強く意識するようになりました
育休を取る前から可能な限り残業は最小限にしたい派でしたが、それはあくまで個人レベルの話でした。
しかし自分の所属する部課を見渡して、全体の残業を減らすにはどうすればいいだろうか?と考えるようになりました。
結果としてはこの意識の変化と会社の方向性のズレがきっかけで辞めることになりましたがそれはそれで別のお話。

このときに生じた意識の変化はこの後の自分の人生、つまり今の自分にとってかなり重要なものだと思っています。

◆おわりに

40年ほど続く会社員人生、一方で育児ができる期間なんてほんの少しの間。数カ月~数年なんてあっという間です。数カ月が過ぎ、数年が経ち、10歳になるころには父ちゃんなんて相手してくれなくなります。
それが今の私です。

男性も育休が取れることが当たり前の世の中が1日も早くきますように。


おわり。

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