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君はドラゴンハンターを知っているか~完結編~

この記事はひとしろ氏主宰の「創作キャラクター交流ゲーム Advent Calendar 2023」に向けた記事です。

いきなり去年の話で恐縮ですが

丁度去年の今頃、同じくアドベントカレンダー企画でこういう記事を書きました。

もう30年以上前の話なので分からんだろうなあ…と思ってたら。
なんと、地元の図書館に当時の学研・科学が保管されてることが判明。
無事コピーを持ち帰ることに成功しました。
(ひとしろ氏、情報提供ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます!)

てなことがあったのが今年の1月

すみません、ちゃんと読み込んで…と意気込んでるうちに時間が経ってしまいました…。先延ばしにするのもってことで、アドベントカレンダーのネタにします。

そして本題へ

というわけで、30数年の時を経て蘇るTRPG「ドラゴンハンター」
所々記憶違いはあったものの、タイトル含め大筋では合ってました。
では、その内容を紹介します。

「ドラゴンハンター」

ストーリー

荒野の小王国「星星(シンシン)」
かつて白竜よりもたらされた「竜の宝玉」の力により、この国は平和を保っていた。しかし、それは突然破られる。
邪竜キングドラゴンの襲撃により、王女ミーア姫と竜の宝玉が奪われた。
王はキングドラゴン討伐のため勇者を求める。名乗り出たのは「ナイト」「武士」「忍者」の三人。
彼らは地下迷宮に潜むキングドラゴンを倒すため、モンスターが徘徊する荒野へと旅立つのだった。


ストーリーは漫画形式で2ページずつ4回。学研の科学は月刊誌なので4ヶ月連載されました。


PC

前回の記事で「あまり違いはない」と書きましたが、PCごとに結構特徴がありました。また、ステータスはかなりシンプルで「パワー」「持ち物」のみです。
パワーはモンスターとの戦闘に必要なもの。モンスターと数値比べをします。最低:1 / 最大:20
持ち物は持てるアイテムの上限。

〇ナイト
騎士鎧を装備した騎士…というより、この当時のファンタジー勇者なキャラデザ。正統派主人公な雰囲気。
初期パワー:5 / 持ち物:7
アイテム上限が多いので、他のキャラより武器や防具を多く持てる。
色々な装備を使いこなす戦士。

〇武士
鎧武者。ファンタジー要素がほぼない、現実どおりの鎧兜を装備している。
鎧の作画がめちゃ細かい。あと何故か顔がガンダムのカイさん。漫画パートの数少ない台詞「やった…」がCV古川登志夫で脳内再生される。
初期パワー:7 / 持ち物:6
戦闘特化の代わりに鎧で鈍重。

〇忍者
少年忍者。かわいい。 漫画では忍者刀と手裏剣を装備しており、ゲームにもしっかり反映されている。
初期パワー:5 / 持ち物:5
三人の中で一番初期ステが低い。
しかし、忍者らしく(?)アイテム「巻物」を装備することで特殊能力が解放される。
戦闘の際「翼を持った敵」から逃げることが可能になるのだ! また、条件次第で敵との戦闘を回避することもできる。
身軽な分、力はイマイチだが忍者の特殊技能でカバー。

ルール

〇コンポーネント

  • ボード(A面・B面)
    六角マスが書かれたボード。ゲームのフィールドになる。
    A面→B面の順番で進める。

  • PCコマ

  • PCカード

  • 指針
    現在のパワーを示す矢印。切り取ってPCカードにつける。

  • アイテムチップ

  • モンスターチップ

  • モンスターチップ(ボス)
    他のモンスターより大きいチップ。キングドラゴンの他に8体のドラゴンが居る。このうち「白竜」は戦闘を回避できる。

  • イベントチップ(ミーア姫、聖泉、宝玉、魔法の鏡)
    ストーリーに関連する特殊チップ。聖泉はパワーを上げることができる。

  • 障害物チップ(アイテムで障害物を壊した際に置く)

  • 進行表
    シナリオシート。ボードのマスに振られている番号に対応したイベントが書かれている。

〇プレイ人数
最少人数:1人 / 最大人数:3人
*GMは必須ではない。

〇進行
各PCのターンごとに、ボードのマス目を1つ進む。六角形が繋がっているマスにはどの方向にも進める。
ただし「障害物」が書かれているマスは、アイテムで通れるようにならないと進入できない。
マスと進行表の番号を参照し、イベントを起こす。
イベントは基本、同じマスに進入すれば何度でも起こる(なのでマッピング推奨)
同じマスに複数のPC新入不可。
進行表は一部ゲームブック形式になっており、イベントが起こる→「〇番に進め」と進行表の番号が指定されていることがある。
内容は「アイテムを見つけた」「モンスターが襲ってきた」「ヒントを貰った」等々。また、アイテム所持などの条件で分岐することもある。
パワーが上下するイベントもある。
A面のゴールにPC全員が辿り着いたらB面へ。

〇戦闘
「モンスターが出現」イベントが起こると、進行表で指定されたモンスターと戦闘。


戦う:
モンスターのパワーと数値比べ。多いor同値で勝利

逃げる:
パワーを1下げて、元のマスに逃げる。
*戻った先のイベントは起こらない。
対象のモンスターチップを表向きにして置く(再戦可)
ただし「翼を持った敵」は、巻物を装備した忍者以外は逃走不可。
イベントで強制戦闘もある。


勝利:
進行表で指定された数値分パワーを上げる。マスは現在位置のまま。
対象のモンスターチップを裏返しにして置く(再戦不可)
勝利マスには他のPCが進入でき、戦闘イベントは起こらない。

敗北:
パワーを3下げて、元のマスへ戻る。
*戻った先のイベントは起こらない。
対象のモンスターチップを表向きにして置く(再戦可)



〇アイテム
アイテムはステータス「持ち物」の数だけ持てる。
上限以上のアイテムが手に入った場合、どれか1つをその場のマスに捨てる(アイテムチップを置く)
アイテムチップが置かれたマスに進入したPCは(上限に達していなければ)そのアイテムを手に入れられる。
「装備」アイテムを捨てた場合、アイテムで上昇したパワーは上昇した分だけ下がる。
進行表に「アイテムが手に入った」と書かれていても、対象のアイテムが未所持アイテム置き場にない場合は入手不可(「他のPCが先に手に入れてしまった」という扱い)


装備
パワーを上げる。「武器」「防具」等があるが、ステータスがパワーしかないため、システム上は区別されない。
ただし、「敵から逃げられる」「2マスずつ進める」等特殊効果が付与されているものもある。
ドラクエでいう「呪いのアイテム」みたいなやつもある。


金貨
アイテムと交換できる(「商人が現れる」イベントがある)


特殊
シナリオ進行で使用するアイテム。
フィールド上の「障害物」を破壊したり、ボス戦に必要だったり。

〇ゲームオーバー
パワーが0になったらゲームオーバー。
その面のスタート地点に戻る。
パワーは初期に。アイテムはそのまま。

感想

これすごない!?
戦闘みたいな数値処理が必要なところはサクッとシンプルに数字比べ。
その分、イベントがかなり豊富です。先程言ったようにゲームブック形式になっており、選択で分岐したりちょっとした謎解き要素やギミックがあったり。
「TRPGの難しい部分は小学生でもわかりやすく。尚且つ飽きさせない」という工夫が随所にあります。

やはりというか、所々記憶と違っている部分がありました。
前回の記事では「レベルが下がりやすいので詰む」と書きましたが(当時の自分が気づいてないだけで)救済措置があります。

戦闘に敗北するとパワーが3下がるのが痛いものの、聖泉など回復手段は用意されています。
聖泉は一度見つけると「聖泉チップ」を置いて回復ポイントにできます。
なので、ちゃんと考えて動けば普通にラスボスまで行ける作りになってると思います。
ドラクエでも「たたかう」連打だった俺の頭が悪かっただけ(ry

シナリオシートを自作すれば、オリジナルストーリーで遊んだりできます。
何ならこのフォーマットで丸ごとカードやチップを自作して「ドラゴンハンター2」を作ることもできます。
コンポーネントも絵や説明文、簡単な数値表が書かれているだけなので少し器用な子なら自作できるレベルです。
ステータスがシンプルなのが大きいですね。1~20の数字を書いたマスとキャラ絵を用意するだけでオリジナルPCの完成です。

ここは記憶通り「シンプルで拡張性も高い優れもの」でした。

力の入った企画。だが…

残念ながら単発で終わってしまったようです。
好評だったら続編や世界観を変えて…という可能性があったかもしれません。
ストーリーを漫画形式で数ヶ月連載した後ゲーム掲載という、変則的な形式だった上に「ゲームのストーリーパート」とという説明もありませんでした。しかも漫画は2ページしかないためストーリーが全然進みません。
(PC三人がモンスターをやっつけてるだけの回とかあったしな…)
なので、当時の自分は「なんかドラクエみたいな漫画が毎月2ページだけ載ってる…なにこれ?」と首を傾げてていました。
ちゃんとゲームのことを告知して、ストーリーは最初の1回(導入部)のみとかだったらもっと企画の意図が伝わり訴求力もあったのでは?と思います。
もしかすると、最初はそういう予定だったのがゲームの作成が延びる→漫画で時間稼ぎという事情があったのかもですが…。

というわけで、謎のTRPG「ドラゴンハンター」の全貌が明らかになりました。
あやふやな記憶にも関わらず、調査をしていただいたひとしろ氏には再度感謝の意を表明し、記事を〆させていただきます。
ありがとうございました!!

ちなみに

漫画の作画担当は「村川一久」先生という方なのですが、調べても情報らしい情報は出てきませんでした。
少年漫画らしい絵柄ながらも、ドラゴンの鱗やPCの装備(特に武士の鎧)などはしっかり描き込まれており堅実な作画です。
「村川いっきゅう」名義で活動しておられるっぽいのですが…図鑑や児童誌に寄稿しておられる以外のことはわかりません。
他の作品も気になるのでこちらも調べてみたいと思います。

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