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丁寧な暮らしに思うこと

私の夫は、どちらかと言うと「丁寧な暮らし」が好きなタイプである。

ラーメン好きが高じて製麺機を買って麺やスープを自作したり、コーヒー豆を煎ってみたり、DIYに勤しんだりしている。植物の世話が好きで、ベランダで野菜を育て、夏には梅を買い梅干しやジャムを作っている。大事な服を手洗いしてみたり、布巾を消毒して床にワックスをかけて…そういった家仕事を苦も無くやれる人だと思う。

私はそういう生き方をしてこなかったし、興味もなかった。
でも結婚してから夫の生活を見て、安いものをたくさん買ってすぐに買い替えるより、良いものを長く使うことの良さにも気付いた。じっくり時間をかけた料理はとても美味しいし、きれいに片付いた部屋で季節の花を飾るだけでこんなに豊かな気持ちになることも知らなかった。

ところが現在、二人の子どもを育てる私に、そんな気持ちの余裕は全くない。片づけても荒れる部屋、必要最低限の家事でも中断される毎日で、結婚当初の丁寧な二人暮らしを実践できるわけがないのだ。
それでも、夫の生活は変わらない。そのことにイライラしたこともあったし、「少し落ち着きなよ」と言われた時は精一杯日々を回している自分を否定されたようで泣きたくなる日も数多くあった。

丁寧な暮らしなんて大嫌いだ。そう思いながらも、心が疲弊した時にそういう特集が組まれた雑誌や本を読みたくなるのはなぜだろう。憧れなのか、願望なのか、はたまた悔しさか。

何とも言えない気持ちになりながら、たまにはコーヒーを丁寧に淹れてみる。悔しいけど美味しい。

晩ご飯はYouTubeを見ながらじゃなくて、レシピをきちんと見て丁寧に作ってみようか。普段の時短料理だってそれなりだけど、たまにはそんな時間も悪くない。


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