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人生初の失恋で気がついた私のこと 

はじめに

 約2年付き合った彼氏とお別れしました。
 特にその辺の詳細についてここで深掘りするつもりはありません。
 この二年間について私は完璧とは程遠くも、全力でぶつかったので悔いがないからです。
 それと何年か後に見返したらちょっと照れちゃうと思うので、自分の中にだけしまっておきます。
 ちなみに浮気とかそういうモメ別れではないので、負の感情は少ないです。

 ここでは、彼との別れの後に、そういえば私変わったな、とかこんな風に考えたな、ということがいくつかあったので、それらを記録として書いていこうと思います。
 人生初の経験なので、記憶が鮮明なうちに残しておこうと思います。

その1  何度も観た映画で初めて泣いた

 彼との別れで泣きまくっていた私は、多くの失恋人と同じように『もしかしたら、別れずにうまく付き合い続けていた未来なんかもあったんじゃないか』、という考えが頭にぐるぐる浮かんでいました。
 そして、ふとある映画をみたい、と思ったのです。

 それが『ララランド』でした。
 高校の頃、映画館で観て以来、何度となく鑑賞して、サントラを聴きながら家事をすると捗る、なんてライフハックを見つけるほど、私のお気に入りの映画になっている作品です。

 たまに、「この映画のどの辺が好きなの?」と聞かれると、私は毎回、「二人が結局付き合うんじゃなくて別れた上で夢を掴むところ」と答えていました。
 ただのハッピーエンドなんてつまらない。そんな私はこの映画のほろ苦いラストが気に入っていたのです。

 しかし、今回私をこの映画へと駆り立てたのは、別のシーンでした。
 『ララランド』はラスト、ジャズバーを構える夢を叶えたセブと女優になる夢を叶え、別の男性と幸せな家庭を築いたミアが偶然、開店したてのセブのバーでたまたま再会します。
 互いの存在に気がついた二人。客席に夫と座るミアを見た後、セブはステージでかつてミアと歌った曲をピアノで演奏する。
(サントラのMia &Sebastian’s themeです。良かったら聞いてみてね。)
 その音色に合わせて、数分間にわたり、『もしセブとミアが別れていなかったら』という空想が、映画の中で一番豪華な演出と共に描かれます。
 現実の二人のすれ違いの原因になったものが楽しい音楽に乗って二人に背を向けて遠ざかります。
 セブをバンドに誘った友人は笑顔で立ち去り、現実では空席だらけだったミアの一人芝居は満席のスタンディングオベーション。最悪な初対面も塗り替えられて、二人の時間がどんどん流れる。
 最後に、二人はセブのバーにやってきます。そして、そこで幻想は終わり、気がつけばセブの演奏は終わり、客席でミアは現在の夫と隣に座っています。
 私は、何度も何度も観たこの映画の、登場人物が誰も泣いていないこの『もしも=if』のシーンで初めて泣いてしまいました。

 私の中に生まれていた『if』は、アカデミー賞映画の大作にもあるような、ありふれた感情なんだと、少し安心したと同時に、やはり、頭に自分の『if』のシーンがたくさん浮かんでしまったのだと思います。

 一緒に観て号泣していた友人に初めて泣いたことを言うと、きっと共感性が前より高くなったんだよ、と言われました。
 今までは、確かに音楽も映画も他人事、こんなこともあるんだなぁと思うことしかありませんでした。その楽しみ方も決して間違いではないと思います。映画は他人の人生の追体験である、という考えも聞いたことがあります。
 でも、今回初めてのめり込むように観た映画は、それまでと同じ内容だったのに、あまりにもそれまでとは違っていました。

その2  他人への興味を抱くことができた

 自慢になってしまいますが、大学に入るまで私は妹を除く他人と喧嘩らしい喧嘩をしたことがありませんでした。
 そもそも怒ることがほとんどなく、非常に穏やかでさして人間関係で悩んだ記憶もあまりありません。
 そして、誰か一人の人間に固執、執着するなんてこととも無縁でした。もう本当にどうやったら人を恋愛的に好きになれるかわかりませんでした。
 別にそれ自体悪いこととも思っていませんが、本当に見当もつきませんでした。
 私にとって他人は、どうぶつの森のマップ上にいる住人と同じで、自分の視界から消えた途端、私のワールドからも消えるのです。なので、私といない時のあの人何してるんだろう、なんて考えることがありませんでした。
 そんな私が、自分といない時の相手に興味を抱き、一端の執着心を他人に抱いたのです。たくさん幸せな気持ちも辛い気持ちも巻き起こされ、最後には、私とではなくても幸せになってほしいという、不思議な感情まで体験させてもらいました。
 今回抱いた感情にならなければ恋ではない、というつもりはありません。きっと相手や自分次第で、毎回全然違う関係性や気持ちになるのだと思います。
 口が裂けても100点満点の2年間だったとは言えませんが、このことに気がつけてよかった思います。
 そして、本当に楽しい時間でした。

その3   死ななかった


 彼と別れた後の自分の姿は、想像できませんでした。ぶっちゃけ死ぬと思ってた。妹にも死ぬと思ってたと言われました。
 結果、死にませんでした。泣きまくりではありますが、日々は続いています。
 連絡をとった先輩が言ってくれたように、否が応でも日々は回って、ご飯を食べて仕事に行って、お金は減るし、足も疲れる。
 寂しくてたまらないのですが、やはり楽しかった思い出が多くて、忘れようとするよりもその余韻に浸っていたいような気がしています。
 そして今は私にこんなにもたくさんの感情をくれたこの2年間に感謝しています。
 今回、手に入れたたくさんの感情をいつか他の誰かに感じたり、そこから新しい気持ちが自分の中に芽生えたりするのかなと考えたてみるのですが、まだあまり想像がつきません。それはすぐかもしれないし、遥か先の未来かもしれないし、もう一生ないかもしれません。
 でも、一生のうちでこんな体験が一度でもできてよかったです。

 なんて、どんなにおセンチなことを書き連ねていても、日常は映画とは違って相変わらずくすんだ色で進んでいきます。時間の流れは速くなる一方です、最近。
 とりあえず身を任せつつ、続きを頑張っていこうと思います。
 最近見たハズビンホテルのお気に入りの台詞と共に、今回は終わりにします。
『For your story has just begun…You can’t quit now…The show, it must go on』
 

 ここ一週間のお気に入り曲は山口百恵の『さよならの向う側』です。
 私が薦めるまでもないけど、よかったら聞いてね🥐

 


 

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