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言葉にかけられた魔法【シロクマ文芸部|企画「手紙には」】参加記事

手紙には、ある魔法がかけられている。その封筒の封を切り、手紙の中身を読み終えるまで、その魔法が解けることはない。

これは、一週間前に買った小説、その冒頭に刻まれていた一文だ。物語は主人公とその周囲の人々の交流が綴られていて、ミステリーでもファンタジー小説でもないのだが、そのはじまりが心の角に引っかかって取れぬような、妙な感覚がした。

「作者の術中に嵌まったな。でも、その術に魅入られたまま読み進めた方が物語を楽しめるぞ」

俺は文学的思考じゃないんだよ。

自分について、よくそう語る雅也だが、そうした推測は文学者そのものではないか、と思う。先程の一文の作者が彼であると思いたくなるほどに(勿論、雅也は研究者だし、文を書いたのは小説家だ)。

「ふふ。小説家は魔法使いなのね。読み終わらないと解けない魔法、私はかかるのかしら。読んでみるね、最後まで」

そう言って私は膝に乗せていた本のページを開き。そのストーリを追い掛け始めた。


文学のお供はコーヒーでなければならない。濃すぎず薄すぎず、香りが強くなく、けれどかぐわしさを保たなければ、ないよりずっと始末の悪いものとなる。

これは小説の一部じゃない。コーヒーを淹れてくれた雅也が唐突に語り出した、意図の解らぬ言葉たちだ。


「雅也。あなた、やっぱり文学者よ。骨の髄まで染まらないでね」

私がそうささやきかけると、雅也は「ちゃんと家族の場所は空けてあるよ」と言って笑顔を浮かべた。


拙稿題名:言葉にかけられた魔法
総字数:606字

よろしくお願い申し上げます。



ヘッダー画像と対のような画像が生成されました。MicrosoftCopilotによるAIアートです。



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