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夏の夜風に【シロクマ文芸部|お題「夏は夜」】参加記事

夏は夜、日が落ちるのをひたすらに待ち続け、酷暑をしのぐ。昨年から続く酷暑に抗ったとしても、かえって辛くなるだけだ。そんなことを独り言のように、心の中へとそっと落とした。


夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、ほたるの多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。

清少納言『枕草子』より


この有名な一節を口ずさむと、涼しげな夜風が頬を撫でていくような心持ちになる。これぞ清少納言いうところの、“をかし”、なのだろうか。


「俺は螢を見たことがないな。自然の中、小川の近くで発光しながら飛んでいる螢を直美は見たことがあるか?」

テラスに出て夜風に身を任せていた。いつの間にか後ろに立っていた雅也が、私に声を掛けてくる。蛍の光か。水辺の群生は見事だろうけれど、今ここに、ひとつふたつと蛍光色が灯るのも、少納言が言うようにおもむきがあるものかもしれない。

「私もまだ見たことがないわ、蛍の光は。観察会みたいなもの、どこかで催されていなかったかなぁ……」

「観察会なら、俺の勤務先でやってるぞ?直美がよければ、予約入れようか?」

雅也の申し出に頷いてから、もう一度夜空に目を戻す。清少納言が生きていた時代は夜景もなく、夜陰は正に真闇。螢の光は今よりずっと強く輝いていたのだろう。そんな物思いにひととき浸る私の目の前を、蛍光の青味を帯びた黄色の光が一筋、軌跡を引いて、スーッと消えていった気がした。


拙稿題名:夏の夜風に
総字数:634字

よろしくお願い申し上げます。


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<©2024春永睦月 この文章は著作権によって守られています。AI画像はフリー素材ではありません。無断使用及び転載等はお断りいたします〉
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