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なんでもない日【シロクマ文芸部】参加記事

#シロクマ文芸部  「誕生日」から始まる 参加します。

誕生日は終業式だった。小学校、中学校、高校。みんながお休みに向けて胸を弾ませ、はしゃいでいる。そこに私ひとりの誕生日、それが入り込む隙間などなかった。だからただ黙っていた。「お休み、楽しみだね」と言いながら。

言わないでいる内に、祝い方など忘れてしまった。ひとつ年を取るだけじゃないか。書類に記す年、その数字が変わるだけ。いいや、それで。そう思っている内に、私は卒業証書を手にし、学び舎へ別れを告げた。

社会人になって、バースディプレゼントを貰った。
私を祝ってくれるひとがいたのか。当たり前のことが、すごく意外だった。戸惑いながらそのプレゼントを受け取ったことを、今でも覚えている。

誕生日は、今でも特別なものではない。もっと大切な日が他にある。けれど、私を祝ってくれた人たちの笑顔、それだけは宝物だ。

おめでとう、わたし。
おめでとう、みんな。

なんでもない日、けれど大切な日。
それが、誕生日。


拙稿題名:何でもない日、大切な日
総字数:402字(原稿用紙一枚相当)

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