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マーク語りき。【毎週ショートショートnote】参加記事

#毎週ショートショートnote  裏お題「優先席の微世界先生」参加します。

全長50センチ。狭苦しい世界、優先席の椅子。私は、その椅子のマークのひとつだ。先生と呼ぶ理由は揶揄やゆだ。印なんか知るか。そんな声が聞こえてくる。

「ラッキー、空いてたぜ」
「おい。そこは優先席だぞ?」
「いーじゃねーか。座る奴なんていねーって」

そこのガキども。お前らは一生立っていろ。運動不足も解消されるだろう?
そう叱りつけたいのだが、無念ながら私には声帯がない。体自体が存在しない、マークだからな。

「次の車両にしましょう?座れそうにないから」
「そうだねぇ。急ぐわけでもないし」

初老の女性と、そのお連れの老婦人が、電車のホームで話し合いをしている。すまない、本来ならあなた方が座るスペースはあるのに。

「席、空いてますよ」

おや。奴らの1人が慌てて車両を降りて女性たちに話しかけた。連れを立たせたな。女性たちは礼を言って車両に乗り込んだ。

私は優先席のマーク。私の存在を忘れなければ、微世界を通した心が見えてくるだろう。


拙稿題名:マーク語りき。
総字数:408字(原稿用紙1枚強)

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