言葉にかけられた魔法【シロクマ文芸部|企画「手紙には」】参加記事
手紙には、ある魔法がかけられている。その封筒の封を切り、手紙の中身を読み終えるまで、その魔法が解けることはない。
これは、一週間前に買った小説、その冒頭に刻まれていた一文だ。物語は主人公とその周囲の人々の交流が綴られていて、ミステリーでもファンタジー小説でもないのだが、そのはじまりが心の角に引っかかって取れぬような、妙な感覚がした。
「作者の術中に嵌まったな。でも、その術に魅入られたまま読み進めた方が物語を楽しめるぞ」
俺は文学的思考じゃないんだよ。
自分について、よ