#62 カーボンフットプリント削減のために避けるべき食品20

#実践

食事から変革的適応を

『カーボンフットプリント削減のために避けるべき食品20』 というネットニュース(MSNニュース,ベルギー版,仏語)を目にしたのでメモ。リンクはこちら↓

記事の冒頭にはこのようなことが書かれていた。

Comme l’industrie alimentaire produit énormément de gaz à effet de serre,
食品産業は温室効果ガスを大量に生産するため、
notre assiette est l’endroit tout indiqué pour amorcer un changement d’habitudes.
私たちの食事は、ライフスタイルを変えるのにうってつけだ。

気候変動、最近は気候危機という言葉も聞くが、この危機を乗り越えるためにはただ適応するだけでなく、”変革的適応”が必要だと言われている。この”変革的”というのが、まさに価値観やライフスタイル自体を変えるということだ。その意味で食生活はうってつけだという。

このような内容の記事は日本のニュースサイトではあまり見かけず、アンテナを張っていても見つけられる数はそう多くない。農業政策をみるとその違いははっきりみえるのだが、ニュースを見るとやはりヨーロッパと日本では「環境と農業」に対する意識の差があることを感じる。

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ここからは本題の「カーボンフットプリント削減のために避けるべき食品1~20位」を記事の内容を補足しつつ紹介する。※基本的に訳しただけの文章は引用書式、改変した部分は標準書式にしています。

1位 牛肉, Bœuf

牛肉は「  最も汚染の多いタンパク質源  」であり、温室効果ガスの20%を排出しているそう。また飼育過程で大量のメタン(GHG:温室効果ガス)をを排出するだけでなく、大量の水と土地を必要とする。

2位 子羊, Agneau

気候に最も損害を与える2番目の食物はラム肉で、肉1キロあたり22.9キログラムのGHGを排出する。牛と同様反芻動物である羊もまたメタンを排出する。牛肉と子羊が一緒になって、温室効果ガスの排出量が最も多い動物製品である。

近代的な畜産には非常に多くの資源・エネルギーが投入されている。例えば本来、牛や羊は草食動物だが、トウモロコシや大豆などの穀物を飼料として与える生産方法では、飼料生産に水や肥料、農薬など外部エネルギーが投入されているということだ。このような家畜生産の過程で使われる、実際には目に見えない水のことはバーチャルウォーターといわれている。

3位 バター, Beurre

1キロあたり12 kgのCO 2を生産するバターは、気候に最も悪影響を与える食品の中で3番目、乳製品の中で1番目である。

4位 軟体動物と甲殻類, Mollusques et crustacés

軟体動物と甲殻類は、牛肉と子羊の二酸化炭素排出量にそれほど違わない、キロあたり11.7 kgのCO 2を放出する。科学界は、肥料による沿岸水域の汚染がGHG排出を悪化させたのではないかと疑っている。

5位 チーズ, Fromage

動物由来の食物は一般に植物性食物よりも気候を害する。チーズも例外ではない。1キロあたり約9.8 kgのGHGが発生します。地元の製品を選択することで、エコロジカルフットプリントを減らすことができる。

6位 アスパラ, Asperges

野菜でさえ、長距離輸送しなければならない場合、二酸化炭素排出量が多くなる。これは一般的にペルーで栽培されその後飛行機で輸送されるアスパラガスの場合だが、1キロあたり8.9 kgのGHGが排出される。

アスパラが好きなら、春に近くで栽培されたものを探すのが良い。とのこと。

ベルギーに住んでいた頃、春の短期間しか出回らないホワイトアスパラに、卵のソースをかけて食べるAsperges à la Flamandeが大好きだった。春だけのごちそう。

7位 豚肉, Porc

ベーコン、ハム、その他の豚肉の副産物はすべて、気候変動の一因となっている。豚肉の二酸化炭素排出量は、肉1キログラムあたり7.9 kg。

8位 子牛, Veau

子牛は18ヶ月ではなく20週で屠殺されるため、子牛の二酸化炭素排出量は牛肉の二酸化炭素排出量よりも低くなる。ただし、この肉1キロは7.8キロのGHGを生成する。

9位 鶏肉, Poulet

上位に肉製品が多くランクインしていたが、鶏肉はまだマシな方。それでも大豆やレンズ豆の方が環境には良いとのこと。

10位 七面鳥, Dinde

鶏肉と同様に七面鳥は赤身の肉よりも二酸化炭素排出量が少なく、1キロあたり5 kg。

11位 養殖サーモン, Saumon d’élevage

養殖サーモンは、エネルギー集約型であるため、野生サーモンよりも二酸化炭素排出量が大きくなる。ノルウェー科学技術大学によると、1 kgの養殖サケのCO2排出量は約2.5 kgに相当する。また、魚の養殖は多くの電力を消費するため、特に石炭を燃料とする場合より多くのCO 2を生成する。

12位 マグロ, Thon

マグロを釣るために使用される技術はさまざまであるため、各種は異なるカーボンフットプリントを持っているが、比較的エコな選択肢だ。また、ニシン、イワシ、アンチョビの漁はエネルギー消費が非常に少ないため、気候への影響が少なくなる。

13位 パーム油, Huile de palme

パーム油のボトルを買うことは決してないが、スーパーマーケットで販売されている食品の約半分(アイスクリームから洗濯洗剤まで)に含まれている。1キロのパーム油に対して、6.3 kgのCO 2が大気中に放出される。その生産はまた、森林破壊と自然の生息地の消失に寄与し、1時間あたり300サッカー場に相当する。

14位 チョコレート, Chocolat

チョコレート生産(特にプランテーション)は西アフリカの大規模な森林破壊を招いている。また、子どもたちの搾取にも貢献している。粉乳(脱脂粉乳や全脂粉乳など)生産はカーボンフットプリントが高いため、それを大量に必要とするミルクチョコレートも必然的にカーボンフットプリントは高くなる。だから、環境のことを考えてチョコを食べるなら、ダークチョコレートにしましょう、とのこと。

15位 バナナ, Bananes

バナナは最も人気のある果物の1つだが、エクアドル、コスタリカ、フィリピン、コロンビアなどの特定の国でのみ成長するため、それらを輸送するには大量の燃料が必要になる。たとえば、カナダ人の場合、バナナはフルーツバスケットに着地するために約5,000 km移動する。

16位 アボカド, Avocats

バナナのように、アボカドは遠くから来る。それらは通常、メキシコ、中央アメリカ、南アメリカ、またはイスラエルから輸出され、スーパーマーケットに到着するまでに数千キロメートルを越える。この果物を栽培するには、大量の木材が輸送に使用されるため、森林破壊に貢献するだけでなく、大量の水と化学物質も必要だ。

17位 アーモンドミルク, Lait d’amandes

牛乳を交換する場合、アーモンドミルクはエコな選択ではない。世界のアーモンド生産の80%以上は干ばつに苦しむカリフォルニア州からのものであり、最近のデータは、単一のカリフォルニアアーモンドを生産するために12リットルの水が必要であることを示している。

18位 砂糖, Sucre

世界自然保護基金によると、120か国の砂糖生産量は年間1億4500万トンになる。サトウキビの栽培と加工は、環境に深刻な影響を及ぼす(生息地の破壊、水の過剰消費、農薬の集中使用、大気汚染、水質汚染)。これはすべて、プランテーション周辺の動物、土地、空気、水だけでなく、下流の生態系にも害を及ぼす。

19位 米,Riz

米は世界で最も消費食品の一つであるが、生産量の増加は、大気中に放出されたメタンの量を増加させた。稲作はGHG総排出量の約1.5%を占めており、この数字は世界の人口と同じ割合で増加する可能性がある。田んぼで生成されるメタンを減らす方法はあるが、まだ広く使用されていない。

20位 食品廃棄物, Déchets alimentaires

食品廃棄物が食品に当たるのかはあやしいけど,

食品廃棄物の気候への影響は無視できるほどではない。食品廃棄物は世界の温室効果ガス排出量の8%を占めている。生産された食品のほぼ3分の1は、私たちの食卓に到着する前に捨てられる。

"食べない"よりハードル低く取り組めること

記事を読んだ時、普段よく口にする食材について、こんなにネガティブな側面ばかり見せられても、食べないというハードルの高い選択肢以外に、もう少し取り組みやすいことを提示して欲しいと思った。なので、個人的に取り組んでいることを、食べ方別に、皆さんにシェアしたいと思います。私自身の生活スタイル、価値観のもとで実践していることなので、自分なりにアレンジしてもらえればと思います!

自炊する時

基本的に、なにを作るか決めて買い物をするのではなくて、スーパーで売っているものを見てレシピを決める。例えば野菜・果物を買うなら、

1.旬かつ国産のもの

2.輸入品のバナナなどを買いたい場合は認証付きか、同等の配慮がされているものⅰ

などを基準に選ぶ。そうすると自然と季節感のあるご飯になる。あとは、手の込んだ料理でない方が、素材や季節感を味わうという意味ではむしろ良いのではと思う。(手の込んでない=時短ではないけど)手抜き料理推奨!(塩だけの味付けのポトフとか)

ⅰ例えば東急ストアではこんな取り組みをしている。

他のスーパーにはこんなコーナーも。

1枚目は福岡のJAのスーパー。九州の小規模農家の野菜コーナーがあった。

画像1

徳島のキョーエイの「すきとくいち」コーナーには徳島県の農家の野菜が買える。農家がどのスーパーにいくらで卸すか決められるようになっているので、スーパーごとに買える農産物が違うのもまた面白い。

画像2

もう少しレベルアップするなら風景をつくるごはんの実践もおすすめ!


お惣菜を買う時

加工度の低いものを選ぶ。判断基準は、パッケージの裏の原材料・添加物記載量と、できれば中身も(添加物が何のために入っているのか調べてみると面白い)。国産かどうか、輸入なら原産国はどこかが分かる場合もある。

外食する時

美味しいものは、美味しく気持ちよく食べたい。なので、細かいことは気にしない。けれど、チェーン店なら環境配慮の取り組みをしてたり、原材料にこだわっているお店を選ぶようにしたり、個人経営のお店なら、お店の人と話したり、HPを見て考え方などに共感できるお気に入り店を作る。

例えばコンビニのコーヒーならローソンを選んでいる。(おいしい、だけじゃなくても環境にも配慮していることをもっと主張してもいいと思うけど)


と言ったところでしょうか。

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環境が持続可能なら、そこで営まれる社会も持続可能になるはず。環境が豊かなら、私たちの暮らしも豊かになるはず。自分一人が貢献できることはものすごく小さいけれど、できることから実践し、周りの人にも伝えていきたい。

おまけ:日本語で読める関連ニュース

一つめは畜産と環境破壊についての記事。そして二つめは動物福祉や環境配慮を表明するビーガンのひとが、肉屋になった話しの記事。

三つめの記事は、持続可能な養殖業の証となるASC認証を宮崎のブリ生産者が日本で初めて取得したという記事。驚いたことに、世界の養殖ブリの約9割は日本が生産しているそう!


四つ目の記事は今回のトピックとは直接関係ないけれど、「環境配慮」だけで人々は動かない、ならどうやればみんなが行動に移してくれるか、を考えたカフェの話。







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