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#73 ”ベルギー”ビオワイン

#農業と環境 #EU農業 #ベルギーワイン

Itinéraire Bio, La vigne et le vin bio

ベルギービオワイン(2018年,筆者撮影)


今回もワインの話題。以前の投稿、「気候変動とワイン生産」では、EUのワイン生産地が気候変動により北上していること、そのためベルギーでもワイン生産量が伸びてきていることを紹介した。

今回は”ベルギー”ワイン、特にビオワインについてのデータ(資料1)を紹介する。資料は、BioWallonie という有機農業の新しい管理構造(機関)が発行しているItinéraire Bioというシリーズの冊子である。

上の写真は、リエージュ(ベルギーの南側、ワロン地方)のワインで、ラベル(1枚目の写真)の内容は以下の通り↓

Côtes de Sambre et Meuse:ワインの名称
Appellation d'origine protégée:原産地呼称保護(*関連単語で紹介)
Vin produit à partir de raisins issue de l'agriculture biologique:有機農場で作られたブドウで造られたワイン

ベルギービオワイン

2017年末のデータだと、ワロン地方では44.4 haのブドウ畑が有機又は転換中の畑だで、それはワロン地方のブドウ畑の1/3以上を占めている。ワロン地方はベルギーの南半分側の地域で、そのうち特にリエージュとナミュールで多く生産されていることがわかる(図1)。

(図1)州ごとの有機と転換中のブドウ畑の分布(2017)*資料1

ちなみにリエージュは下の地図では③、ナミュールは④辺りに位置する。
またBiowallonieによると、現在6つの有機ワイン(又は有機に転換中)のドメーヌ*をカウントしているそうだ。それぞれのドメーヌの場所、名称とリンクを下一覧にまとめた。
*栽培・醸造・瓶詰を一貫して行うワイン生産者

(図2)ベルギーのBioワインを生産する6つのワイナリー
※太く囲んだ部分がワロン地方

Domaine W
Vin de Liège
Septem Triones vin bio
Wine Domaine du Chenoy
Château de Bioul
Vignoble du Poirier du Loup

写真のワインは③のものだが、すっきりと飲みやすくておいしいワインだった。日本のエノテカやデパートでは見かけず、店員さんにも聞いてみたが取り扱っていないそうだ。ベルギーに行く予定のある方はぜひ探してみてほしい。

EUと世界のビオワイン

EU
2016年、欧州の有機又は転換中のブドウ畑は、312,000 ha。そのうち90%をスペイン、イタリア、フランスが占めている。栽培面積は、スペイン・イタリアは100,000 ha以上、フランスは70,000 haである。ベルギーでの有機栽培面積28 ha(転換中含まない)は理論上20位に位置するそうだ。 
※資料1には明記されていないものの、スペイン、イタリア、フランスは有機+転換中の面積のようだが、ベルギーの28 haは転換中を含まないように読み取れる。

(図3)EUの国ごとの有機ブドウ畑の分布(2016)*資料1

世界
世界中で有機ブドウを生産しているのは53か国ある。栽培面積は約380,000 ha(2016年)で、世界のブドウ生産量の5.3%に相当し、その大半はヨーロッパで生産されている。

(図4)大陸ごとの有機ブドウ畑の分布(2016)*資料1

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疑問
AOC/AOPワインにはBioの割合が多いと感じる。一体何割がBioなのか?これについてはデータが得られなかったため、引き続き調べてみたい。

★関連単語

Raisins de table:生で食べる、いわゆるブドウ

Raisins de cuve:ワインブドウ
※cuveはフランス語でワイン貯蔵庫の意味。

Vigne:ブドウの木

Vignoble:ブドウ畑

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Appellation d'origine protégée:原産地呼称保護
→通称”AOC”

EUには、ワイン自体を定義し、その生産方法やラベル記載内容を厳格に規定するワイン法が存在している。その目的には、「生産者の正当な利益の保護」、「消費者の保護」、「ワイン産業全体の振興」が挙げられる。また「ワインの定義」、「原産地呼称」、「ラベル表記の規制」は、ワイン法によって普遍的に規律されるべき内容である。*資料2

ワイン法ではワインのカテゴリー別にルールがあり、先ず「地理的表示付きワイン」と「地理的表示なしワイン」に分けられる。さらに、「地理的表示付きワイン」「原産地呼称保護ワイン;PDO」「地理的表示保護ワイン;PGI」に分類される。AOCはもともとフランスで始まった制度(1935年~)で「原産地呼称保護ワイン;PDO」に相当する。EUのワイン法でも使用が認められている。なお、AOCはInstitut National des Appellations d'Origine, INAO(1935年設立)によって管理されている。

ベルギーのAOC指定は1997年さかのぼり、l’Association des Vignerons Wallonsによって管理されている。

参考文献・資料

1) Itinéraires BIO,(42) 09-10/2018
DOSSIER SPÉCIAL La vigne et le vin bio
, BIO WALLONIE

2)伝統と品質の欧州ワイン ~EUのワイン法とワイン産業~ EU MAG vol.44, 2015年10月号




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